映画のまなざし転移 の商品レビュー
とてもマニアックな本の部類に入るのかもしれない。 精神科医 斎藤環さんによる映画批評。 ここで取り上げられている映画は、例えば「この世界の片隅に」や「ハウルの動く城」。是枝監督の「万引き家族」他作品。「おおかみこどもの雨と雪」と思えば「ジョーカー」やクリストファー・ノーラン監督の...
とてもマニアックな本の部類に入るのかもしれない。 精神科医 斎藤環さんによる映画批評。 ここで取り上げられている映画は、例えば「この世界の片隅に」や「ハウルの動く城」。是枝監督の「万引き家族」他作品。「おおかみこどもの雨と雪」と思えば「ジョーカー」やクリストファー・ノーラン監督の「インターステラー」などなどいろいろ。 これらに共通するのは斎藤環さんが 「何かのための映画」が好き、ということらしい。 この「何か」には、イデオロギー、倫理感、作家の無意識(あるいは「病理」)、大衆の欲望などの要素が入る 、とのこと。 1つ1つは2,3ページの批評だから好きなところから気の向くまま読める。 「シン・ゴジラ」では原発と共存するほかない現実に重なると語り、ギグ・エコノミーについて語っている「家族を想うとき」などは映画を見ていないけれど、なかなか面白かった。 重かったり、とても難しい内容のものもたくあさんあるけれど、時々はっとする言葉が出てくる。 「人は『現実』を常に自己流に『意味づけ』しながら生きている 」(イレブン・ミニッツ) とか、 「人間には『満たされない欲望を持ちたい』という欲望がある。なぜ満たされないのか。満たされたと思った瞬間に別の対象に横滑りしていくからだ。」 (マジカル・ガール)とか。 いろいろな映画の世界を垣間見れるという意味ではこういう本を手に取ってみるのもありかと。
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