独禁法講義 第10版 の商品レビュー
独禁法はこれまで浅く関わる程度だったが、転職を気に深く関わることになりそうなので、入門書を読みたいと思い本書を購入。 独禁法は難しいという印象を持っていたが、本書を読んで難しさの理由が分かった気がした。すなわち、条文の作りが悪いということ。特に、私的独占と不公正な取引方法の重複...
独禁法はこれまで浅く関わる程度だったが、転職を気に深く関わることになりそうなので、入門書を読みたいと思い本書を購入。 独禁法は難しいという印象を持っていたが、本書を読んで難しさの理由が分かった気がした。すなわち、条文の作りが悪いということ。特に、私的独占と不公正な取引方法の重複と、不公正な取引方法が法律と一般指定に分離しているところは本当に分かりにくいと思った。著者も「この用語はネーミングが悪い」とか、「よくわかっていない人たちからの影響を受けて出来上がった規定を理詰めで解説するのは不可能」とか、「この条文は無意味なので忘れてよい」とか、かなり辛辣。自分の専門分野を批判できるというのは、よい専門家の証なのかなと思う。 本書全体を通じて、汎用性のある議論をするという方針が一貫していて好ましく思った。条文を一つ一つ読むのは実務家でもできる。学者の存在意義は汎用的・俯瞰的な視点だ。著者自身も最終章でサッカーの例えを用いて学者の意義を述べている(実務家はFWで学者はMFとのこと)。ちなみに他にもサッカーの例えがあったが、著者はサッカー好きなのだろうか。 ページ数もそれほど多くなく、体系的にまとまっている本だが、それでも情報量はかなり多い。実務を行うに当たっては1ページぐらいで全体をまとめてチェックリストとして使うのもいいかもしれない。特に違反要件について。
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