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完璧な病室 の商品レビュー

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20件のお客様レビュー

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2024/11/12

「博士の愛した数式」を読んで以来、小川洋子の小説やエッセイに夢中になった時期もがあったのですが初期の作品も読んでみようと初めて買った文庫本でしたが積読になってました。 この人にかかると、毛穴から汗が吹き出して止まらなくなるような表現力が呪縛のようにねっとり絡んできて息苦しさを覚え...

「博士の愛した数式」を読んで以来、小川洋子の小説やエッセイに夢中になった時期もがあったのですが初期の作品も読んでみようと初めて買った文庫本でしたが積読になってました。 この人にかかると、毛穴から汗が吹き出して止まらなくなるような表現力が呪縛のようにねっとり絡んできて息苦しさを覚えて少し距離を置いてみたくなったんですよね。 この人に睨まれると動くことさえできずに直立不動になってしまうほど緊張します。よそ見してる隙に逃げ出したくなるのですが、またこっちを向いたら制止してヘビに睨まれたカエルとゆうかダルマさんが転んだ状態ですよぉ。 【完璧な病室】 弟の病状を説明する主治医の均整のとれた肉体にうっとりする表現なんか、水に滴る筋肉を想像するとか小川さん以外が言ったら、ただのエログロ変態だと思ってしまうのですけど。ベットに鞄を置いたらぴんと張られたシーツが風紋のようになったとか、胸がざくろが割れたように痛かったとか卑猥に感じると思えば、摘出したチョコレート嚢胞がビーフシチューと同じ色してたとか、しばらく食欲なくしそうな視覚表現だけど、これに嗅覚まで加えたら吐くかもしれない。ホルマリン漬けの胎児を眺めて悦に浸ってそうな不安げな安心感にドキリとします。 【揚羽蝶が壊れる時】 この作品は臭すぎでした。アンモニア臭だとか生ゴミの匂いがプンプン臭覚を刺激するんです。 認知症の祖母を施設に預け終わった後の罪悪感だとか、もうこの人の表現にかかったら度の強い眼鏡掛けて足元がグニャグニャ揺れてピントが定まらず頭痛がして吐き気を催すような感じでした。散りばめられた言葉の中に、ノイズとかロッキングチャアにモーターバイクにバレリーナ、これ絶対に佐野元春の歌詞に出てくる単語意識してますよね。元春はさりげなく悪ぶって気障だけど害はないのに対して、小川さんは妖艶さが加わって退いてしまいそうになるんです。帯に「こうして小川洋子は出現した」って書いてあったけど、私だったら「妖狐が出たぁああ!」ってビックリマークもあと3つぐらい付けたくなる。「ライオンゴロシ」って棘をもつ植物の生態にゾクゾクしました。 初期の洋子さんは艶かしくグロテスクで好奇心旺盛なマッドサイエティストって感じでした。 残りの2つも不穏で不安定な不思議な感覚。 読んでいるだけなのに五感が刺激され心拍が乱れるは、急にトラウマが襲ってきたりで臨死体験に近い感覚を味わうことができました。 4つの短編に出てくる『わたし』が同一人物に見えてしまう。年やら名前は違っているけど何度も転生してるようでゾワーって感じが悩ましい。 これだけ振り回されたら、安らかに眠りたいって思ってしまうww

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2024/08/19

デビュー作含む最初期の四篇。毒気や性的な意識が強かったり内容が難しかったり。クセが強いけど最初期の作品を作者のあとがき付きで読めるのはありがたい(作品の解説とかそういう内容ではないけれど)。「揚羽蝶が壊れる時」が難しくて消化不良。

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2024/08/17

小川洋子さんは死にまつわる静かな話が多い。その文章は心を落ち着かせてくれるけれど同時に暗さも感じる。デビュー作からそれらは一貫していることが分かった

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2024/08/01

p192「しかし、わたしを本当に不快にさせたのは、ごめんなさいという文字だ。わたしは、 空缶を転がすようないい加減さで、ごめんなさいとか頑張ってとか言われるのが嫌いなのだ。サトウはまだ、そのことにも気付いていないのだろうか」

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2024/06/30

ふいに小川洋子さんの本が読みたくなって手に取った。 小川洋子さんの、残酷で美しい、繊細な文章が心地いい。 「ダイヴィング・プール」が1番お気に入り。

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2024/06/09

最初期の四篇。文中の言葉にあった「秘密めいた心地よさ」を含む「残酷な気持ち」‥‥小川洋子作品を言い表している言葉だと思う。

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2024/05/21

どこまでも綺麗で残酷な短編四篇。 幸福からは程遠い内容なんだけど綺麗だなぁって思いながら読んで…たら唐突なホラーにビビる。

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2024/04/20

目に見えないものを見て 外から見えようがない物を抱えて生きていく 抱きしめられて、包まれないと慰められないのかしら

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2024/03/25

同僚が貸してくれた本です。 これは小川洋子さんの初期の頃の以下4作品を収めたもの。 「完璧な病室」 「揚羽蝶が壊れるとき」 「冷めない紅茶」 「ダイヴィング・プール」 なんとも独特な世界でした、どの4作品も。小川洋子さんは、グロテスクな事象や残酷な心理描写などを、なんとも精巧...

同僚が貸してくれた本です。 これは小川洋子さんの初期の頃の以下4作品を収めたもの。 「完璧な病室」 「揚羽蝶が壊れるとき」 「冷めない紅茶」 「ダイヴィング・プール」 なんとも独特な世界でした、どの4作品も。小川洋子さんは、グロテスクな事象や残酷な心理描写などを、なんとも精巧で均等で美しい文章で表現するなーと思いました。本書の中でもあったような表現をお借りすると、つるりと冷たい陶磁器の美術品のような印象を受けました。 一番好きだったのは「冷めない紅茶」かな・・・。登場人物の関係性を含め、すごく曖昧で不思議な世界で、え、これはどういうことだろ、どうもこうもないのだろうか、と一瞬一生懸命考えましたが、もうこれはこういう世界のお話なんだと思うことにすると一番好きなお話になりました。 一番わからなかったのは「揚羽蝶が壊れるとき」かな~。 「ダイヴィング・プール」は、読んでいて少し苦しかったです。 表題作「完璧な病室」は、好き嫌いでいうと好きな方かな、くらいですが、一番小川洋子さんらしい作品のような気がしました。気がしただけです。 読んでいる間はなんだか、いつもの現実とは違う、一段暗い世界を、ゆっくり歩いているような感覚で、決して明るく楽しい短編集ではないですが、美しい文章に浸りながら小川洋子さんの世界をより知れた気がして、良い読書でした。

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2024/02/12

「完璧な病室」 無駄なものはなく清潔で安心できる場所。 弟の病室で二人で過ごす時間は静かで、時を刻むほど清らかになっていく。相反していたものは、心の病があった母とのかつての生活。それらを全て包み込んでいくものの温かさが、この小説全体を包み込んでいるように思えた。 ほかに、「揚羽...

「完璧な病室」 無駄なものはなく清潔で安心できる場所。 弟の病室で二人で過ごす時間は静かで、時を刻むほど清らかになっていく。相反していたものは、心の病があった母とのかつての生活。それらを全て包み込んでいくものの温かさが、この小説全体を包み込んでいるように思えた。 ほかに、「揚羽蝶が壊れる時」「冷めない紅茶」「ダイヴィング・プール」 あとがきまで読み終えて、人のすべての奥底までが細やかに描かれた小説が、自分の物のように感じられる読者になりたいと思った。

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