電力危機 私たちはいつまで高い電気代を払い続けるのか? の商品レビュー
電力行政、電力業界の歴史的な流れの解説がまとまっていてフムフムと読んだ。東日本の電気料金、電力需給は当分厳しそうだ。 ・東日本はBWR、西日本はPWR ・周波数変換所や地域間連系線はJパワー管理 ・国際的なLNG争奪戦は続く
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日本の電力の歴史から、現在に至る経緯がよくわかる。また、日本国内でも地方によって状況が異なること、現実的ではないが目標に至った背景など、非常に分かり易い。
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結びは「そう、電力システムの本質は昔も今も何も変わらないのである」。 凄く分かりやすく、これまでの流れが整理され、それに基づいて、将来が見渡されている。 社会は、ロジック、合理性のみで変わるものではなく、政治的なもので、揺れ動くものという、諦念、現実性を踏まえた丁寧な分析がなさ...
結びは「そう、電力システムの本質は昔も今も何も変わらないのである」。 凄く分かりやすく、これまでの流れが整理され、それに基づいて、将来が見渡されている。 社会は、ロジック、合理性のみで変わるものではなく、政治的なもので、揺れ動くものという、諦念、現実性を踏まえた丁寧な分析がなされている。 「私が本書を執筆するにあたって強く感じたのは『電力事業は国策か、ビジネスか』という視点である。」 「これから先も、電力産業は国策とビジネスの間を振れながら、その中で色々な人間が、学び、行動し、暗躍し、闘争して、時代の変化に応じた新しいシステムを作り上げていくのだろう。そういう意味では電力システムはただの冷たい構造物ではなく、先人たちの、そして今を生きる人たちの、志や思想や情熱や欲望が集まって具現化したものであるし、そこに面白さがあると思う。」(p254)
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p44 発電方法 火力、再生エネルギー、原子力、揚水 p48 電源 ベースロード、VRE(自然条件によって出力が変動する再生エネルギー)、ミドル、ピーク電源 p57 東京 低すぎるベースロード電源、14時以降電力貯蔵システムへの過剰依存 p60 東京エリアの問題点 低すぎる...
p44 発電方法 火力、再生エネルギー、原子力、揚水 p48 電源 ベースロード、VRE(自然条件によって出力が変動する再生エネルギー)、ミドル、ピーク電源 p57 東京 低すぎるベースロード電源、14時以降電力貯蔵システムへの過剰依存 p60 東京エリアの問題点 低すぎるベースロード電源比率、昼でも低いVER電源比率、電力貯蔵システムへの過剰依存、他地域への常時供給依存 p73 原子力発電所 おおきく2種類の発電炉 沸騰水型炉 BWR 原子炉でから得られた熱で直接的に水を温めて沸騰させ、その水蒸気を用いてタービンをまわす 水蒸気が直接核燃料に触れるため、放射性物質によって汚染させる。熱利用という観点では効率的だが、原子炉格納容器の構造がシンプルで小さく、放射性物質によって汚染させる発電機の部分が多くなる 福島第一原発 事故の場合、フィルタ付きベントが必要。周辺住民の避難計画が必要 加圧水型 PWR 原子炉で直接温めた水は上記とせず、その水を利用しぇいて別系統から引き込んだ水を蒸発させて水蒸気をつくりタービンを回す。PWRは核反応で発生した熱を間接的に利用し、別系統で引き込んだ汚染されていない水を蒸気にする方式であるため、熱効率は悪くない、原子炉格納容器も大きくなる。他方で放射性物質によって汚染される部位は限定的となる 事故がおきても汚染部が限定的、ベント作業も想定する必要なし BWR最新式の柏崎刈羽6,7号機の格納容器の大きさは高さ36m、円筒部直径29m 現在可動中の川内発電所1,2号機 高さ87m、外径40m程度 両者の容積は4倍近い差がある p77 石油火力発電所 1970年代の石油危機以降の原油価格高騰の影響で、通常時での採算はとうの昔にあわなくなり、長らく新規投資は行われていない。ただそれ以前に作られた既存の発電所は概ね固定費の回収は終えているので、2010年代前半まではピーク電源として受領逼迫時の供給力として有効活用されていた 現在ピーク電源はVREと揚水 もはや石油火力発電は設備更新をしても可動は需要逼迫時のみとなる可能性が高く、到底投資が回収できる見込みがない p78 石炭火力発電所 温暖化対策 2021/6 菅首相 石炭火力の輸出を支援しない 今後フェードアウト p79 LNG火力発電所 石炭火力発電所より10-20%程度発電効率が高く排出楼が少ない 柔軟に出力調整ができるVER電源のバックアップ電源として適している ロシアウクライナ戦争 ヨーロッパ諸国がLNGをロシア以外から輸入 価格高騰 日本 LNG 8.4%をロシアから輸入 p86 太陽光発電 設備利用率が17.2% 風力発電 30% 再エネは安いのだけれど色々問題があるので、他の電源と組み合わせて使わなければならない p100 電力王 福沢桃介 電力の鬼 松永安左エ門 p170 京都議定書 日本に対してのみ削減困難な目標が課される非常に不公平な条約だった p189 関西電力と九州電力については、保有する原発がPWRだったので、順次原発再稼働が進んだことで徐々に業績が回復していく。一方東電はBWRが中心でさらに原発事故の賠償金の重しがあり、より深刻な経営危機に陥っていく p190 今現在の東京電力の状況だが、既に国から投入されている10兆円超の資金をふくむ16兆円を捻出するための官民一体の事業体となっている。予定ではこれから数十年にわたって年間で最低で5000億円規模の利益を計上し続けることになっているのだが、これを実現するためには保有する柏崎刈羽原発、建設/計画段階の東通原発を完成させフル稼働させることが必要不可欠となるだろう
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