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鏡の男(上) の商品レビュー

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2023/06/08

ある雨の朝、ストックホルムの公園でジャングルジムに吊された少女が発見された。現場に駆けつけた国家警察刑事ヨーナ・リンナは遺体を一目見て驚愕する。彼女は五年前の誘拐事件で行方不明となった被害者だった……。警察は監視カメラの映像から、現場近くで犬を連れていた男の逮捕に踏み切る。強引な...

ある雨の朝、ストックホルムの公園でジャングルジムに吊された少女が発見された。現場に駆けつけた国家警察刑事ヨーナ・リンナは遺体を一目見て驚愕する。彼女は五年前の誘拐事件で行方不明となった被害者だった……。警察は監視カメラの映像から、現場近くで犬を連れていた男の逮捕に踏み切る。強引な取調べがおこなわれるが、その男・マルティンは精神病を抱えていて供述は要領を得ない。だが、警察内で唯一マルティンを目撃者だとみなすヨーナがエリック・マリア・バルクのもとで催眠療法を試みると、途端に彼は饒舌になりある名を口にする──。 シリーズ第8作。 「正しいのは私でしたね」ヨーナのセリフと久しぶりに出会ったような気がする。それとも見落としていたのか。下巻に続く。

Posted byブクログ

2023/04/04

今までのヨーナ・リンナ シリーズと同様、やはり夜寝る前に読んじゃいけないやつ(眠れなくなる。残虐なシーンがあるのと面白いのとで) 殺人現場を目撃したと思われるマルティンよりも、妻のパメラへのストレスがよりリアルに描写されているのではないか。 3回目か?心的外傷と災害精神医学の...

今までのヨーナ・リンナ シリーズと同様、やはり夜寝る前に読んじゃいけないやつ(眠れなくなる。残虐なシーンがあるのと面白いのとで) 殺人現場を目撃したと思われるマルティンよりも、妻のパメラへのストレスがよりリアルに描写されているのではないか。 3回目か?心的外傷と災害精神医学の専門家で患者に催眠を施す、エリック・マリア・バルク博士登場。 上巻の終わりの展開は何がなにやらわからず。母子は何者?…きっと、下巻を読めばわかる

Posted byブクログ

2023/03/25

いつもこの作家さんの残酷なシーンには吐き気がする。監禁シーンも殺害シーンも毎回気分悪くなるけど、読み進まずにはいられない中毒性を持っている。今回は娘を亡くしたパメラに感情移入して彼女の目線で事件を追っている。そのリアリティがページを捲る背を押している。

Posted byブクログ

2023/03/10

 スプラッタ・ホラー? サイコ・スリラー? 警察小説? 否、それらのジャンルをブレンドさせ、娯楽作品に徹したツイストを仕掛けに仕掛けた、びっくり箱のような作品である。前作までで、連続殺人犯ユレック・ヴァルテルとの対決構造は終焉を迎えたはずなのだが、はてさて。  いつも仕掛けと残...

 スプラッタ・ホラー? サイコ・スリラー? 警察小説? 否、それらのジャンルをブレンドさせ、娯楽作品に徹したツイストを仕掛けに仕掛けた、びっくり箱のような作品である。前作までで、連続殺人犯ユレック・ヴァルテルとの対決構造は終焉を迎えたはずなのだが、はてさて。  いつも仕掛けと残酷さと怖さとでこのシリーズに着いてゆけなくなる一歩前まで行くのだが、本作は久々のアイディアにやられてしまったかもしれない。夫婦作家共作のシリーズ向けペンネームで書かれたスウェーデン・ミステリーでありながら、甘いところは一切見られない、どぎついまでの暴力とサイコな駆け引きに満ちたシリーズを、図太い線で駆け抜けるのはお馴染みのシリーズ主人公ヨーナ・リンナであり、もう一つの主役を務める精神科医エリック・マリア・バルクである。  エリックの方は後半の少しだけの登場ながら、やはりいつもの主役クラスの展開に絡む。本書ではクライマックス・シーンと言っても良いような一点で。  いずれにせよ彼らシリーズ主人公は、物語の前半ではあまり活躍の場が得られない。むしろ悪の捕食者に捉えられ、辛く永く過酷な運命を辿ってゆく少女たちと、彼女らの運命が中心に語られてゆく。少女たちに絡む悲劇の夫婦が、本ストーリーにどう絡んでゆくのかが見えないまま、辛く凄惨な日々が過ぎてゆく。  運に恵まれない少女たちの物語には眼を背けたくなる読者が多いのではないだろうか。そしていつまでも見えないフリークなまでの残忍な犯罪者の正体は? 張りつめたバイオレンスの緊張感を通低音として聴きながら、誤った方向に進もうとする捜査と、警察組織への苛立ちをものともせず真実への最短距離を走り抜けようとするわれらがシリーズ主人公ヨーナ・リンナが本書でも頼もし過ぎる存在となってゆく。  謎の骨格が優れており、前半の暗い情景を丸ごとひっくり返すような驚く仕掛けで明かされるエンディングの妙は、シリーズ中屈指の面白さである。シリーズのスタート地点に立ち戻った観のあるエリック・マリア・バルクの活躍も苦闘も目立つ。  絶対に明かせない真相に向けて疾走するストーリーとその語り口の妙。状況のあまりの凄惨さに辟易を覚えた点を覗けば、久々に見る優れたサイコ・サスペンスとしておススメの力作である。辛く、痛く、そして真っ暗なトンネルを抜けたところにある快感を目指して、この長く冷徹なレール上を走り抜けて頂きたいと思う。

Posted byブクログ