猫だましい の商品レビュー
大好きなハルノ宵子さん。 「それでも猫は出かけていく」を読んで以来、誰の視線も気にもとめず、言いたいことをストレートに時には皮肉をこめて言ってしまうハルノさんの大ファンになってしまいました。 「猫だましい」は、自分の病気をとおして誰にも訪れる死との距離を、猫たちとの別れやご両親の...
大好きなハルノ宵子さん。 「それでも猫は出かけていく」を読んで以来、誰の視線も気にもとめず、言いたいことをストレートに時には皮肉をこめて言ってしまうハルノさんの大ファンになってしまいました。 「猫だましい」は、自分の病気をとおして誰にも訪れる死との距離を、猫たちとの別れやご両親の看取りをからめながら淡々と語っておられます。 ハルノさんの周りには、濃いつながりの人や猫がいて、お人柄どおりの濃い深い社会に生きてらっしゃるのだと思いました。 挿し絵の猫のイラストはとても魅力的で、ハルノさん自身のようだとますます大好きになりましたよ。
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ご自身の闘病記なんだけど、そうは感じられないくらい楽しく読める。大腸がんのステージⅣだって診断されて、ここまで冷静に受け止められる人って、なかなかいないんじゃないかな。肝が据わっているというか達観しているというか。 ハルノさんは、両親を介護して自分もたくさん病気になって、そのうえ...
ご自身の闘病記なんだけど、そうは感じられないくらい楽しく読める。大腸がんのステージⅣだって診断されて、ここまで冷静に受け止められる人って、なかなかいないんじゃないかな。肝が据わっているというか達観しているというか。 ハルノさんは、両親を介護して自分もたくさん病気になって、そのうえ自宅に住み着いた野良猫の世話までして中には病気持ちの猫もいて、本業である漫画を描けないこともあったらしい。 それでも、どんな困難や災難にもめげない強さと、常識にとらわれない大胆さで、次々と荒波を乗り越えてしまう姿に、何があっても大丈夫だと思えるような勇気と元気をもらえた気がする。
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自分の大腸がんをこんなに俯瞰して語れるってすごいなと思った。がん宣告の衝撃もなく、お一人ですか?から始まり、10日間の入院中の人間模様、病院のコンビニ、お見舞い、食事、退院後の大変さを軽妙な語り口で重さを感じさせなかった。 たくさんの猫の病気と両親の病気、介護に付き合って、自分も...
自分の大腸がんをこんなに俯瞰して語れるってすごいなと思った。がん宣告の衝撃もなく、お一人ですか?から始まり、10日間の入院中の人間模様、病院のコンビニ、お見舞い、食事、退院後の大変さを軽妙な語り口で重さを感じさせなかった。 たくさんの猫の病気と両親の病気、介護に付き合って、自分も病気を抱えて、とても大変そうなのにそんな感じがしない。自分の直感と経験で医師のいいなりにはならないところとか、見極め方とか。 がんはストレスに深く起因しているのでは。自分は大丈夫、うまく乗りきれていると思うときが危険。精神の水面下でのストレス、がんは緩慢な自殺なのだ。というのは一理あると思った。 がんの受け止め方として病院や病気に支配されないこと、人は生まれた瞬間から余命宣告されているのだからという言葉は心にとめておこうと思う。瞬間を生きることで幸せを感じられたらいい。死んだらわからない。あとのことばかり考えず、今を大切に生きないと時間がもったいない。ついつい考えてしまう年齢だけど、日々の自分の生活をもう少し楽しんでもいいなと思えた。
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単行本を書店で少し立ち読みしてこれは面白いに違いないと思っていた。文庫化されたので購入。 アタリでした! 巨大な大腸がんがあることを宣告されたところから話は始まるのだが、ハルノ宵子さんはびくともしない。それがカラ元気だったり、ポーズだったりしたら、私も読む気が失せていたと思う。...
単行本を書店で少し立ち読みしてこれは面白いに違いないと思っていた。文庫化されたので購入。 アタリでした! 巨大な大腸がんがあることを宣告されたところから話は始まるのだが、ハルノ宵子さんはびくともしない。それがカラ元気だったり、ポーズだったりしたら、私も読む気が失せていたと思う。この人、生きてる価値観が全く常人と違うのだ。 ハルノさん曰く、足掻くのはムダなのだ。ボーッと日常を過ごすことだ。 「人間は瞬間の快・不快を生きているのだ。瞬間の幸せのために、頑張ったり、苦しんだり、治療したり、工夫したりする。瞬間を生きるしかない。生まれた瞬間から、余命宣告をされた時間を生きているんだから」 とはいえ、前半は、隠れた自殺願望があるのだろうなと思いつつ読んだ。俄然面白くなってくるのは、後半から。大腸がんは初めての癌ではないのだ。そもそも乳がん経験者であり、大腿骨も骨折してしまうのだ。さらに喘息もちであり、肝臓まで悪化。病気のオンパレードなのに、常に楽観的。そして知的。 何だか「手当て」をしてくれる人が周りにあれこれいるのだが、それを否定もせず(まあ、肯定することもなく)受け入れ、スピリチュアルなことから絶妙な距離を保つところ、さすが吉本隆明の娘、といった感じがする。 自分がガンになったのも、「ま、この辺で人生終了〜でも、別にかまわないかな…」と感じるような精神の水面下でのストレスご原因で、緩慢な自殺だと分析する。 でも自分の分析は悉く珍学説であり、専門家は読むなとちゃんと言う(笑) 彼女の賢さと経験からくる総合的な予測もなかなかすごい。堀ちえみや池江璃花子のガンの宣告の時期に書かれたものだが、その予後の予想は的確でびっくり。確かに2人ともハルノさんの予想の通りの経過を過ごしておられる。 辛口だけど、やさしさで満ちているのは、こんなところ。 お見舞いで言われてイラッとくるのは、「大丈夫、あなたなら絶対乗り越えられる」という無責任な励ましだ。本当に心から応援したいと思うのなら、例えばデパ地下から電話して、「今デパ地下にいるけどほしいものある?」とマメに連絡することだという。 これ、すぐにでも実践したい。 パニック障害だった過去を振り返るくだりは、他人事ではなく、特に、予期不安が来る時の「そらし方」など、もしかして自分と似てるのかもと思いつつ読んだ。ハルノさんのパニック障害(ハルノさん語は「アレ」)はある事件がもとで「時が満ち」終了したという。「時が満ちる」というのもよくわかる。 ハルノさんのお気楽でありながら、賢さ炸裂の切れ味のいい語り口に気持ちよく乗せられて最後まで一気読みした。この人のでっかさに触れて、最後は、どんな病気になってもなんか大丈夫な気がしてきた(笑)
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