短歌ください 海の家でオセロ篇 の商品レビュー
7月28日に私の地元の小説家養成講座に歌人の穂村弘さんが講師としていらっしゃるのでちょっと予習です。 「短歌ください」「ほむほむのふむふむ」「日経歌壇」などで穂村さんに選ばれるのは凄い倍率で至難の業だと思いますが、地元の講座は主要メンバーは小説家志望者ばかりなので短歌は狙い目です...
7月28日に私の地元の小説家養成講座に歌人の穂村弘さんが講師としていらっしゃるのでちょっと予習です。 「短歌ください」「ほむほむのふむふむ」「日経歌壇」などで穂村さんに選ばれるのは凄い倍率で至難の業だと思いますが、地元の講座は主要メンバーは小説家志望者ばかりなので短歌は狙い目です。(もしかして地元の短歌サークルなどが参加されることが考えられますが)たぶん倍率はもの凄く低いと思われます。 この本を読んで感じたことは、穂村さんの選ぶ歌は、まだ誰も気づいていない何かに気づいた人の歌が多いなあということ。 私のようにあるものをそのまま詠んだ歌は皆無ではないかということ。 今から対策して、作風を変えるのは難しすぎます。 えーん。 ーーーーーー <「同じ服ばっかり着てない」違う逆 この服を着ると君に会える> (潤郎・男・32歳) <盗まれたパチンコ店の自転車はパチンコ店に次の日並ぶ> (シホ・女・47歳) <だんだんと言葉遣いが神様に近づいていく闘病日記> (えんどうけいこ・女・44歳) <肉体がほとんど「廃棄」でできているコンビニバイト勤続二年> (一戸詩帆・女・29歳) <真っ白いジグゾーパズル落ちており ではなくすべて花びらだった> (toron※・女・28歳) <高速のねこふんじゃった鳴り響く住宅地には平和が宿る> (まどか・女・26歳) <その日からあの子が学校に来なくなり無数の星に目を瞑る夜> (佐藤緋音・女・17歳) <絵本ではとってもおいしそうだった胡桃に裏切られる4歳> (平井まどか・女・27歳) <ためらいもせずきんいろのおりがみでざつなひこうきつくりやがって> (たろりずむ・男・44歳) <ベランダにしゃがんでみてるミニトマトその日暮らしの音階がある> (久藤さえ・女・33歳) <幸せになってほしいと言われてもひぐらし夕立ち光るのはだれ> (森松萌・女・19歳) <北向きの恋に凭れて硝子へと耳打ちをした窓してるのと> (鈴木美紀子・女・56歳) <「ざりがにをたべたらおいしかったです」の日記に×がついていた夏> (北山文子・26歳) <飛びあがり入道雲さえ抱きしめたい 犬がくるまであと一時間> (吉田晶雄・男・31歳) <君の好きな歌を聴いて夜を閉じる私が近づけるのはここまで> (朝間海裂・女・21歳) <友達の恋人が嫌い恋人の友達も嫌い 春の木漏れ日> (はるか・女・21歳) <夕暮れに君が「異邦人」歌う あ、蕎麦屋のチャリが転んだ音だ> (ささくれじょうすけ・男・21歳) <足早にカートを押して車までカラスが狙うコストコのピザ> (ヒラオダイスケ・男・48歳) <本当はメロンが何かわからないけどパンなりにやったんだよね> (砂崎柊・男・26歳)
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
好きな歌をいくつか 抱かれる前に見ていた彗星は帝王切開の刃のひかり 繰り返し繰り返されてる地獄 砂時計の中に一匹の蟻 石鹸の消滅を見た 石鹸は世界が消えてしまうのを見た
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クスッと笑える短歌、切なくなる短歌、ほんわかする短歌…どの作品も素敵だった。 穂村さんのコメントを読むとより楽しめる。
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俵万智さん以来の短歌集でしたが、面白かった。人それぞれの宇宙が三十一文字に込められていて無限に広がって。いくつかメモしました。
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穂村さんの元に集まった短歌たちだなぁ、という印象。 世界の切り取り方が独特で、新鮮な感覚にさせられることも多く、楽しかった。
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雑誌『ダ・ヴィンチ』の長寿連載『短歌ください』の単行本化第五弾。 読者から投稿された短歌を歌人穂村弘が選び、コメントをつける。 毎回募集する短歌にテーマが設けられているのだが、そのテーマがけっこう難題で、これをどう料理するんだろう、と興味が尽きない。 『畳』『消しゴム』『牛丼』と...
雑誌『ダ・ヴィンチ』の長寿連載『短歌ください』の単行本化第五弾。 読者から投稿された短歌を歌人穂村弘が選び、コメントをつける。 毎回募集する短歌にテーマが設けられているのだが、そのテーマがけっこう難題で、これをどう料理するんだろう、と興味が尽きない。 『畳』『消しゴム』『牛丼』といったアイテムから『おしゃれ』『無』『わくわく』といった抽象的なものまで。 このテーマで、エッセイとか、すべらない話とか、書けと言われたら困るよね、と、思うものが多い。 しかしそこは短歌という何でも入れられる小さな器。 事実でもフィクションでも、ミステリでもファンタジーでも、ネガティブな思いもラブストーリーでも描いていける。 毎回、他の人の頭の中ってどうなってんだ、と、びっくりする発想が出てきて痺れる。そして少し悔しかったりする。 神様かなんかに、何でも分かる頭脳と、誰でも引き付ける美貌と、独特過ぎる感性と、その三つのうちどれかあげると言われたら、感性が欲しいです!と、言いたい。 もちろん、他の二つをわたしが持っているわけじゃなく、そういうものを持っている方の苦しみも計り知れないし、そんなものは誰も与えてくれないのは分かっているけれど。 今後日本が、世界がどうなっていくのか分からない中での、「収録歌の総数が二千首を超える『短歌ください』シリーズは、日本語を使う人々の心の記録という意味合いが生じてきたように感じます。」という穂村さんのあとがきの言葉は、思いのほか重く感じられます。
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くすっと笑える歌多し。 特に好きだっ短歌。 ・あなたには見えないでしょう今わたしすっごく ベルトねじれているの ・人間の首って結構曲がるんだ電車の向かい居眠りする人 ・そんなこともわからないのかと言われどんなことかも わからないでいる (バイト先にて)
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たかだか31文字というのに、様々な感情の繊細さが感じられるので毎巻面白い。穂村弘さんの受け止め方も良く、補足で更に理解を深めることが出来てとても助かっている。以前書いていた『恐い歌はいい歌』という評価に感銘を受けたので、ちょっと恐いくらいに想いの強い歌が好き。
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たくさんの人が投稿した短歌を穂村さんが一言添えて紹介していく方式。その一言で理解が深まったり、自分と全然違う解釈で驚いたり、穂村さんと一緒に鑑賞しているような気分で読める。 短歌は、良いことも悪いことも区別なく、一瞬をピックアップして切り取る。短歌の目線を持ってあらためて見てみ...
たくさんの人が投稿した短歌を穂村さんが一言添えて紹介していく方式。その一言で理解が深まったり、自分と全然違う解釈で驚いたり、穂村さんと一緒に鑑賞しているような気分で読める。 短歌は、良いことも悪いことも区別なく、一瞬をピックアップして切り取る。短歌の目線を持ってあらためて見てみると、世界は色とりどりだ。同時に、あまりにも儚くてさみしくなる。大きなイベントも心に残るけど、日常の小さなできごとだって負けないくらい大きくて、かけがえのない思い出になるんだなと実感する。 やっぱり、自分で見て聞いて触れたものが自分の世界のすべてなのかな。そう思うと、これまでの人生何も成し遂げていないけれど、毎日感情を動かしまくっているから、結構命を全うしているんじゃないかという気もしてきた。短歌を作る人のように一瞬一瞬を丁寧に切り取りながら生きたら、疲れるし辛いことも多くなるかもしれないけど、誇らしく足跡を振り返れそうだ。自分の性に合っている生き方かもしれない。 以下、好きだった歌をいくつか。 わたしたち桜の中で早送りされてることを気がつきもせず 半ギレの父がお寿司を買ってくる 母は絶対イカを食べない もう降りることのない駅の自販機のラインナップを日記に残す 踊り場でおどったことがありますかデニムはすこし廻りづらくて
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