なぜ子どもは神を信じるのか？ の商品レビュー

J.L.バレット(著者),矢吹理恵(訳者),荒川歩(訳者),松島公望(監訳)

2024/06/06

認知科学等のエビデンスに基づく宗教心理学的な視点から、タイトル通り「なぜ子どもは神を信じるのか」というテーマに迫った一冊。より正確に言うと、「なぜ人は姿の見えない超人的な、意思を持つ存在を信じるのか」といったところでしょうか。
日本では宗教心理学に関する本が少なく、海外の知見を知ることも英語が読めなければ難しいところがあったため、ありがたい一冊でした。
後半は、著者が熱心なクリスチャンであることに留意しながら読むべきでしょう。宗教的な背景を持つ親が子どもにどのように効果的に教育を行うべきか、という視点で書かれています。主張については意見の分かれるところでしょうが、紹介される手法や考え方については受け入れられる範囲内の倫理的なものであったと思います。これを逆手に取り、害になる宗教教育とは何か、ということを考える足がかりにもなるのではないでしょうか。