弁護士のための離婚調停&相談の実況中継 の商品レビュー
期待したほど自分の役に立つ感じではなかった。 いいなーと思ったところから書く。面会交流の別居親側の交渉の手法が、弁護士の立場から実況中継形式で解説されていること。この点は直近10年の間に出版された類書にない顕著な特長。やたら権利を主張したり攻撃的な書面を書くのは逆効果だというこ...
期待したほど自分の役に立つ感じではなかった。 いいなーと思ったところから書く。面会交流の別居親側の交渉の手法が、弁護士の立場から実況中継形式で解説されていること。この点は直近10年の間に出版された類書にない顕著な特長。やたら権利を主張したり攻撃的な書面を書くのは逆効果だということがふんわりとでも弁護士の間で共有されたら、だいぶ楽になると思う。同居親に対する面会拒否理由のヒアリング→理由をケアする施策の提案という大枠は正しいので、ほんとこの大枠で全ての弁護士が面会交流事件に臨んでほしい。 イマイチだった点。 言語化しづらい暗黙知の部分を言語化するというコンセプトのようだけど、言語化が全体的に甘いと思う。いくつかの典型例の実況中継形式の部分は臨場感があるのはよいけど、暗黙知的な現場での動き方の工夫的な部分は「法則n」みたいな見出しをつけるとかして、読みやすいようにしてほしい。本文と解説を行き来しないと内容を把握できないとか、解説のメリハリがなくてどこが重要なポイントなのかわかりづらいとか、そんな理由での読みづらさを強く感じた。 また、ライフハック列挙本としては紹介されているライフハックの数が少ない。現場レベルのライフハックを求める読者に対して、例えば調停に代わる審判の手続きの解説とか要る?と思えば今度は論点的な先例の紹介が申し訳程度に出てくるけど類書のようにいくつも列挙されて比較検討されているわけでもなく、さらっとかすめる程度の解説に留まる。完全な新人弁護士には難しすぎるし経験弁護士には物足りず洗礼や類書へのアクセスの窓口としてのレファレンス昨日も弱い、その意味でターゲットがはっきりしない構成になってしまってない?編集者はその辺意識しなかったんだろうか。
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