日本の大企業 成長10の法則 の商品レビュー
『#日本の大企業 成長10の法則 失われなかった30年の経営』 ほぼ日書評 Day710 なかなか評価の難しい一冊。 いわゆる失われた30年の間にも大きく成長した日本企業は多数ある。それらに共通する要素をあぶり出す試み、さらにそのための取材力は流石のものがあり、取り上げられた...
『#日本の大企業 成長10の法則 失われなかった30年の経営』 ほぼ日書評 Day710 なかなか評価の難しい一冊。 いわゆる失われた30年の間にも大きく成長した日本企業は多数ある。それらに共通する要素をあぶり出す試み、さらにそのための取材力は流石のものがあり、取り上げられた企業において、そんなことをやっていたのか、と勉強になる箇所は多い。 ただ、結論の持っていき方がどうにもいただけない。 「エレキ」を祖業とするソニーが、長年傍流として物言う株主からも切り捨てを示唆され続けたエンタメ事業で蘇ったのを例に「選択と集中」戦略を否定するといった物言いである。 また、彼我(欧米と日本)の比較と、時代の推移を、ないまぜにして日本企業のマイナス点を指摘する「出羽守」的姿勢も気になるところ。 象徴的なのが、p.263の「ジョブ型課長」と「タスク型課長」のアナロジー。 新卒で国内大手証券で仕事を始めた際に「お前の仕事は街を歩き、毎日100枚の名刺を配り、3カ月で靴の底に穴をあけることだ!」と言われ、無条件にその通りにしていたら、数か月後には多数の自分の顧客ができた。 一方で外資系金融に転じた際、英語の顧客ミーティングをファシリテートすることを求められ、何とか無事会議を終えた後に、上司から「で、顧客の課題は何だった?」と問われ、ミーティングをつつがなく終わらせること(タスク)と、そこからビジネスの種を見つけること(ジョブ)の違いに気付かされた…というくだり。 これを彼我の差ということは容易だし、叙述上のテクニックと分かって読むことは容易だが、市井の人々がリアルタイムに株価を知ること術など全くなかった時代の営業スタイルと、時代が下っての外資系金融法人におけるそれとを比較するのは、やはりフェアでないと思うのである。 とはいえ、冒頭にも述べた通り、個別企業分析は参考になる箇所が多いので、個人的には読んで時間の無駄とは思わなかった。 https://amzn.to/3Zqi5dQ
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