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ウクライナ 通貨誕生 の商品レビュー

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3件のお客様レビュー

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2024/04/05

激しい戦禍も続き、注目もされているウクライナに関する内容だ。 「ウクライナ」は2022年の“侵攻”のニュースが伝えられる迄、日本国内では知名度が必ずしも高くはなかったかもしれない。が、4千万人程度と伝えられる人口は欧州諸国の中でも上位に位置し、面積も欧州諸国の中では寧ろ大きい部類...

激しい戦禍も続き、注目もされているウクライナに関する内容だ。 「ウクライナ」は2022年の“侵攻”のニュースが伝えられる迄、日本国内では知名度が必ずしも高くはなかったかもしれない。が、4千万人程度と伝えられる人口は欧州諸国の中でも上位に位置し、面積も欧州諸国の中では寧ろ大きい部類で「マイナー」ということにもならない面も在るかもしれない。 この「ウクライナ」だが、「ソ連」が解散することになった結果として登場した。現在、「ウクライナ」として知られる版図の国は、この「ソ連」の解散という出来事が在った1991年に初めて登場している。様々な要素を孕んだ国ということになる。 本書の著者は、その1991年以降、ウクライナ現地に滞在して活動する機会を何度も持っている。本書は1990年代初めの、「新たに興った国で、新たな通貨を設定しよう」というようなことから始まった様々な様子を振り返って綴ったという内容が中心である。 本書はその1990年代前半頃の動きを綴った部分に、2014年頃に発表した論考、2022年に発表した論考を合わせたモノとなっている。なかなかに価値在る内容に纏まっていると思う。 2022年の“侵攻”のニュースが伝われば、「何かよく判らないが、非常に大きな規模でロシア軍が動き…」ということで、ウクライナの経過が必ずしも判り易く伝わっているのでもなかったと思う。本書は、「ソ連の解散」で生じた混乱を潜り抜けようとして来た様子、そして著者がウクライナ滞在時に様々な地方を訪ねて得た見聞や知見が纏まっている。 本書の中にウクライナの方の言として引かれている内容でもあるが、ウクライナは「10年毎に計3度も“革命”」と言われる程度に政治が揺れ動く経過を辿っている。1994年にクラフチュク大統領が失脚、2004年に「オレンジ革命」と呼ばれる出来事でユシチェンコ大統領が登場、2014年に「マイダン革命」でヤヌコーヴィチ大統領が国外へ出てしまうということで3回だ。本書では、収録されている2014年頃と2022年に各々発表した論考を通じて、こうした“革命”がもたらしたモノが振り返られている。 1991年の「ソ連の解散」の後は、「これまでの色々は止めました」となり、「で?如何します?」とでも問えば、「如何でしょう?」と返答が在るというような状態だったのかもしれない。“ゼロ”どころか、“マイナス”のような辺りから、自国の経済活動を安定させて、諸外国との交易を出来るようにと考えることや、色々な規則を整備するようなことなど、何でもやらなければならなかった訳だ。「当り前に在る」というようなモノが「不明?」になっていて、それを何とか整理しようとする人達の様子を見詰めるような、本書の見聞記は非常に貴重だと思う。 1991年に初めて登場し、様々な要素を孕んだウクライナという国では、「国内に居る人達が緩やかに統合するウクライナ」を志向するような考え方と、「ウクライナのナショナリズム」を前面に押出すような考え方とが在るようだ。現在は後者が優勢であるようではある。が、少し前の経過での疑義も残るようだ。 蛇足ながら極個人的な経験に言及すると、自身も1993年頃のロシアを現地で観た経験が在るので、「ソ連の解散」の後の「ポストソ連」とでも呼ぶべき時期の混乱の雰囲気は少し判る。そんな個人的な記憶とも相俟って、本書を興味深く読んだ。加えて後段の論考は、未だ収束迄に時間を要しそうに見えるウクライナの様子を考える材料として有益だ。 結局、少し前からの経過、やや旧めなことも含めて、直接の関連の有無を問わずに事態の歩みを可能な範囲で学び、その上で考えることが、色々な問題に関して重要であるような気がする。ウクライナの問題は正しくそういうようにして、理解を拡げて深めるべきだ。 大変に有益な一冊に出会えたことを歓んでいる。広く御薦めしたい。

Posted byブクログ

2023/09/05

第103回アワヒニビブリオバトル テーマ「狂」で紹介された本です。ハイブリッド開催。チャンプ本。 2023.9.5

Posted byブクログ

2023/03/19

ウクライナの通貨創造の現場に身を置いた日本人エコノミストによる、ゼロからの国づくりの記録がまとめられた本になります。 いかにゼロからの国作りが難しいかと、ロシアとウクライナの関係を知る上でも有意義な一冊だと思います。

Posted byブクログ