メンタル激強保健医の力技カウンセリング(1) の商品レビュー
既に表紙のタイトル文字の置き方が力技満々で期待いっぱい。読めればいいんじゃないですか? 世の中、考え出したらキリがないほど細かい事まで配慮しなくてはいけないことばかり。 集団生活って面倒臭い。 そんな面倒臭さに悩んだり困ったりしているのが全てどうでも良くなるような、メンタル激...
既に表紙のタイトル文字の置き方が力技満々で期待いっぱい。読めればいいんじゃないですか? 世の中、考え出したらキリがないほど細かい事まで配慮しなくてはいけないことばかり。 集団生活って面倒臭い。 そんな面倒臭さに悩んだり困ったりしているのが全てどうでも良くなるような、メンタル激強…もとい、屁理屈こね回し系保健の先生が爆誕した。 そう、世の中を上手いこと渡り歩く秘訣は’屁理屈を真顔で実践出来るメンタルのごん太さ’という事であろう。 一例として、’授業中にお腹が鳴っちゃうのが恥ずかしい’という女子生徒へのアドバイスは’いうほど周りは君の腹の音なんか気にしていない、自意識過剰だ’という答え。更には早弁を薦めるが女子生徒は’早弁も恥ずかしいし男子の目が気になる’と返すが、’目線を地球規模で考えな、地球上で早弁してる奴が一人いた所で誰もそれ程気にせんよ’という答え。これで女子生徒は晴れ晴れとした表情で保健室を後にするのだった。 多分だけど、このアドバイスの奥底にあるのはその現場に居合わせたと仮定した読者らへ向けたメッセージではないだろうか。 教室に早弁してる女子が一人いた所で笑ったり咎めたりしても何の意義も成果も無いのだから、そんな事いちいち気にすんなよ、的な。 そう、本作に登場する保健医・逢沢先生による数々のアドバイスの本質は’みんな気にすんなよ’という点。 もちろん、ひたすら図太く生きるのはある一面では正しいとは思うけど、一方で誰かに我慢や配慮を無遠慮に強いている側面はあると思うし、あまりにも杓子定規に原理原則論を振りかざして他者の粗を咎めてばかりいるのもそれはそれで無用な対立や軋轢を生んで、結果互いに消耗するだけだと思う。 つまるところ、逢沢先生の’互いに上手くやろうぜ’と言うアドバイスが人間社会の真理であり目指すべき目標である、と私は捉えた。 その’上手くやれている’という判断を下せる論拠こそが’一人ひとりの倫理観’と’客観視力の高さ’ということではないだろうか。 ただ扱っているテーマがどれもややライトなものばかりなので、もうちょっと深く重くした時の答えが読んでみたい。その時こそ真骨頂では。 1刷 2023.3.26
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