断罪 悪は夏の底に の商品レビュー
『絶対的な悪は存在しない。同様に、絶対的な正義もない。』 警視庁捜査一課の青山 陽介は、担当の殺人事件で犯人と目された男とは別に真犯人がいると睨んだ。 そして、不審な行方不明事件が続く武蔵野東警察署に出向く様、検事の稲城から指示される。 そこで出会った検案医・夏目 橙子に不...
『絶対的な悪は存在しない。同様に、絶対的な正義もない。』 警視庁捜査一課の青山 陽介は、担当の殺人事件で犯人と目された男とは別に真犯人がいると睨んだ。 そして、不審な行方不明事件が続く武蔵野東警察署に出向く様、検事の稲城から指示される。 そこで出会った検案医・夏目 橙子に不審の目を向ける。 彼がたどり着く驚愕の真実とは?
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「絶対的な悪は存在しない。同様に、絶対的な正義もない。」このフレーズは、悪に取り憑かれずにいきるためのひとつの指針だろう。 だが、人間とは弱い者でいつ被害者になる加害者になるかわからないのである。 その怖さが読んだ後にも付いてくるようだ。 物語は、四つの短編からなる連作である。...
「絶対的な悪は存在しない。同様に、絶対的な正義もない。」このフレーズは、悪に取り憑かれずにいきるためのひとつの指針だろう。 だが、人間とは弱い者でいつ被害者になる加害者になるかわからないのである。 その怖さが読んだ後にも付いてくるようだ。 物語は、四つの短編からなる連作である。 それぞれ異なる事件から始まるのだが、それらが繋がってひとつの長編となっているところも「悪」とは何かを問うているようであり、法律や道徳に関することも絡めていて複雑である。 だが登場人物が個性的であり、魅力を感じながら楽しめるのがいいのかもしれない。 柔らかく中和させているのが、警視庁捜査一課刑事・青山の同窓生である小鳥冬馬なのである。 彼の協力がなければ事件の真相まで辿り着けない。 事件解決を最優先とするエリート検事・稲城。 失踪した刑事・倉持の恋人で警視庁捜査一課の秋月。 武蔵野東警察署のベテラン刑事・榎本。 検視を担当する夏目に大学医学部名誉教授・五十嵐。 最後まで目が離せない。 まったく予測していない終わり方だったが、これは終わりではない、終わることのないものとして考えよということなのか。 「悪」が誰であるのか。
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