測度の考え方 測り測られることの数学 の商品レビュー
数学でいろいろな概念を定義するとき,そのように定義すると,実世界のどういうことを記述するのに便利だとかといった設計思想を,その数式の気持ちと言ったりするが,測度の定義の気持ちを丁寧に書いた本である. 4章から測度の定義に入るのだが,他の教科書では,長さとかの話なのに,いきなり被覆...
数学でいろいろな概念を定義するとき,そのように定義すると,実世界のどういうことを記述するのに便利だとかといった設計思想を,その数式の気持ちと言ったりするが,測度の定義の気持ちを丁寧に書いた本である. 4章から測度の定義に入るのだが,他の教科書では,長さとかの話なのに,いきなり被覆で覆うとかいう定義がでてくる.そして,被覆で覆うことの便利さとかが分からないまま,その定義が使われた概念が次々と出てくることになる.そのまま引きずられてゆき,やめてあげてもうその人のHPは0よとなってしまう. それに対して,本書では,被覆で覆う必要性があるような対象を提示し,そういった対象を便利に測るにはどういうことが必要かが先に示される.その上で,そうした場合でも破綻しないような定義の設計思想,すなわち気持ちと合わせて定義が示されているので,引きずられずに済む. 本書で測度の気持ちが分かってから,他のより幅広い話題を扱った測度論の教科書を見れば,それらより高度な定義の気持ちも分かりやすくなるものと思う.
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