宝ヶ池の沈まぬ亀(Ⅱ) の商品レビュー
第1巻を読んだ時も思ったのだけれど(凡庸な言い草になってしまうが)、人間の中にこれほどまでの思念が宿りうるとはとその濃度に圧倒させられてしまう。そして、実によく映画を観て本を読み続け、酒を断って生活を律しているとそのストイシズムに感銘を受ける。死の直前まで記された(と思われる)こ...
第1巻を読んだ時も思ったのだけれど(凡庸な言い草になってしまうが)、人間の中にこれほどまでの思念が宿りうるとはとその濃度に圧倒させられてしまう。そして、実によく映画を観て本を読み続け、酒を断って生活を律しているとそのストイシズムに感銘を受ける。死の直前まで記された(と思われる)この日記から感じるのはそうして書くことに「も」持ち前のストイシズムを貫き通した人間の美学だ。個人的な読書の枠内から言えばそれはフランツ・カフカが記したさまざまな仕事を想起させられる。思念は実に余命を宣告されてもなお、濃く煮詰められる
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