散歩する女の子(1) の商品レビュー

スマ見(著者)

2024/03/17

あー、良い！これは良いぞ！！とても良い！！！

自分の散歩好きのルーツを辿ると、小学生時代に道徳の時間とかで観ていた教育テレビ『このまちだいすき』に大いに影響を受け、中学の時に購入した副教材の社会科地図帳を眺めるのが面白くて知らない街に思いを馳せ、最初に入社した会社の社用車にはカーナビなんてまだ無い時代だったので分厚い道路地図帳をきちんと読み込んで行き方を事前シミュレートするのが習慣づき、今の会社は比較的日本のあちこちに赴けるようになった事であえて寄り道したり回り道したりする出張計画を立ててうろちょろしたい欲を満たせるので、ますます散歩に精が出るようになった…という感じ。
長年の経験により我ながらそれなりに散歩上手であるという自信はある。

のだが、本作に登場するふたりの女の子〈にほ〉と〈まよい〉の散歩スタイルには目を見張る事ばっかり。

度肝を抜かれたのは〈剥がしアートを鑑賞する散歩〉。貼り紙の剥がし跡に注目した事はさすがに無いわ。しかもそこに美というかアート性を見出すとは感性が鋭すぎてむしろ怖さすら覚える。
〈究極の器を探す散歩〉も凄い。茶碗とか花瓶を探す訳ではなくて、地面に埋設された量水器の蓋に刻まれている‘器’の字の表記にバリエーションがある事に気付き、究極の‘器’の字を探して歩き回るという、変態の領域に首まで浸かっているかのような散歩。
かたや〈最高のおにぎりを食べる散歩〉はめちゃくちゃよくわかる。散歩のお供にはパンでも麺でもなくおにぎりなんだよ。「おにぎり持って歩くと　世界って輝いて見えるな…」(p90)というまよいの気持ちはわかりみが深すぎてこれまた怖い。おにぎりは勇気や安心の塊みたいなものだもんね。‘俺は今おにぎりを持っているんだから大丈夫だ’みたいな。具は昆布が良いな。

どうです、皆様も読んでみたくなったでしょう。
散歩が好きな方には勿論、最近ゆっくり散歩なんてしてないなという方や歩くの嫌いだなめんどいなという方にもお薦めしたい作品です。

1刷
2024.3.17

2023/09/10

スマ見さんの漫画は前からweb上でチェックしていて、遂に書籍が手に入りとても嬉しい。スマ見さんのゆったりした話のテンポと絵のタッチに、「散歩」というテーマがすごくマッチしていたように思う。
散歩って良いですよね。何も考えず歩くのも良し。空想に浸るのも良し。1人で歩くのも、2人で歩くのも。散歩は自由だ。。。

2023/06/22

散歩すると見つかるちょっとした面白いもの、これって私だけ？という想像。その一つひとつが1冊にまとまるとこんなにも良い本になるんだ、と驚きました。散歩が好きな人、街の観察が好きな人はぜひ読んで欲しい魅力満載のマンガです。