寡黙な近衛隊長は雄弁に愛を囁く の商品レビュー
- ネタバレ
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冒頭のエリアスは粗筋にあるような主君賛美を語り出すようなキャラには到底思えなかったので、読む話を間違えたかと本気で心配になった。 もちろん杞憂だったけれども。 寧ろ最初から丁寧に物語を紡いでくれたので、そのギャップぶりと溺愛ぶり(というより執着ぶり)を堪能できてよかった。 ああいう生い立ちでキャラから、主君への重すぎる愛を抱えたキャラになろうとは。 まさしく正統派ソーニャ文庫!というお話だった気がする。 ギゼラもエリアスもお互いを想っているのに、肝心なところで嚙み合っていないので、体は結ばれても心までは容易に結ばれずすれ違うばかり。 エリアスが変に体張って牢獄されちゃうし。 何度命の危機かとハラハラさせられたことか。 しかも二人の生い立ちの件が事態を余計にややこしくするという。 ギゼラの血筋の件も、エリアスの血筋の件も、全く予想していなかったので、分かった時には非常に驚いた。 最終的には二人の政治的立場が逆転するのが面白い。 複雑に構成が練られていて本当に楽しい読書だった。 エリアスの主君賛美がまた癖になる。 彼、基本的に有能なのに(力の使いどころ、体の張りどころ、様々なことを計算して動けるし、権力にものを言わせることに躊躇いもないしちゃんと使える人)ことギゼラに対してだけは残念になるあたりがいい。 彼女の姿絵が最終的に何枚になったのか、地味に気になる……
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