誰? の商品レビュー
東西冷戦が続く時代。国境付近に設置された西側の極秘研究所で爆発が起き、いち早く駆けつけた東側のエージェントに責任者の物理学者が連れ去られる。外交努力の末、帰還した博士は、体の半分以上が機械化されていた。この人(?)は本当に、連れ去られた博士本人なのか。様々な実験、検証。過去の恋人...
東西冷戦が続く時代。国境付近に設置された西側の極秘研究所で爆発が起き、いち早く駆けつけた東側のエージェントに責任者の物理学者が連れ去られる。外交努力の末、帰還した博士は、体の半分以上が機械化されていた。この人(?)は本当に、連れ去られた博士本人なのか。様々な実験、検証。過去の恋人や恩師との再会などを経て、最終的に博士(?)は意外な選択をする。そして、このカラクリを知る東側の諜報部員の意図とは。自分が誰であるかをどう証明するのか、一市民ではあるが、自分にこんなことが起こったらと思うと結構恐ろしい。博士の最終選択、とても興味深い。
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事故で顔や片手などを失い、収容されたソ連側の病院でサイボーグ化した研究者の男。彼が連合国側に戻ってきた。しかし、彼は本物か?スパイによるなりすましか? SF小説というよりミステリー小説に近いかな。スパイかもしれないので、かつての研究は中止となり、監視下に置かれる。それでも彼は若い...
事故で顔や片手などを失い、収容されたソ連側の病院でサイボーグ化した研究者の男。彼が連合国側に戻ってきた。しかし、彼は本物か?スパイによるなりすましか? SF小説というよりミステリー小説に近いかな。スパイかもしれないので、かつての研究は中止となり、監視下に置かれる。それでも彼は若い頃の恋愛話も含め、自分探しをする。彼がどこまで自己の体について認識しているのか?やや曖昧なところがあるが、それがストーリーの曖昧さともシンクロし、曖昧な終わり方に行き着く。
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苦手のSFながら、面白さがぐいぐい高まって、最後は右中間にお売り出された感覚に終わる。 しかし、絶妙な哲学的な感覚も抱いた・・自分は誰、お前は一体?? 奇想天外読み物として発刊された原作は、1958年刊行・・30年後を睨む近未来SFとして著された。 がしかし、新たな緊張にある現代...
苦手のSFながら、面白さがぐいぐい高まって、最後は右中間にお売り出された感覚に終わる。 しかし、絶妙な哲学的な感覚も抱いた・・自分は誰、お前は一体?? 奇想天外読み物として発刊された原作は、1958年刊行・・30年後を睨む近未来SFとして著された。 がしかし、新たな緊張にある現代では、一笑にふせないリアルスリラー的。 ソビエト連邦、KGB変わってロシア連邦というコアが引き継がれた東の雄と米との空気感もあって冷え冷えとしつつも結論が見えない読後となった。
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なぜ今バドリス?という意表をつく国書刊行会というより山口雅也氏のチョイス。 舞台はソビエト連邦ありし日の冷戦時代、国境付近の研究所での事故で重傷をおった研究員がソ連に収容されサイボーグ化され解放。顔はロボコップなみに仮面で覆われ体も多くが機械となって解放された。果たして本物の研究...
なぜ今バドリス?という意表をつく国書刊行会というより山口雅也氏のチョイス。 舞台はソビエト連邦ありし日の冷戦時代、国境付近の研究所での事故で重傷をおった研究員がソ連に収容されサイボーグ化され解放。顔はロボコップなみに仮面で覆われ体も多くが機械となって解放された。果たして本物の研究員なのかスパイなのか? 第三次大戦前夜の位置付けとなった現代において、もはや洒落にならない情報戦。歴史は懲りずに繰り返してしまうのか。という表面上のサスペンスもどきどきなのですが、この本の本質である自分とは何であるかどのように証明できるのか?という深いテーマが1周回って現代的。一度疑われたりレッテルを貼られたら「そうではない」ことを証明することの難しさは、現代ネットワーク社会も共通するどころかさらに大きな問題となってしまった。見たいようにしか見ないし、知りたいようにしか知りたくないという面がネットワークによって加速された恐ろしい時代。日常が戦争状態のうえに個人の存在証明の危うさも加わり、さらにうそつきAIもプラスされればもはやスラップスティックな世界。いや、恐ろしい。
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えぇ!ここで終わるの? K88って何?で、本人なの? こんな感じで静かに物語は収束する。K88はどうでも良いんだが、本人かどうかは多分読んだ通りに解釈するべしなんだろうな。 わかんないのが、イタリア語の『バーバラ、僕、ドイツ人』。幼少期ってことかな。
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はじめの方は退屈だったが、だんだん面白くなった。最後は少し判じ物。スパイスリラーに見せかけた、天才的科学者の成長と喪失の物語。
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