現代カタストロフ論 の商品レビュー
現代カタストロフ論 経済と生命の周期を解き明かす 岩波新書 新赤版 1953 著:金子 勝 著:児玉 龍彦 カタストロフとは、安定的な状況が突然破局する現象を説明するための数学モデルだとおもっていました。 でも、ちょっと、主旨がちがっていました。 ここでは、コロナの変種、経済危...
現代カタストロフ論 経済と生命の周期を解き明かす 岩波新書 新赤版 1953 著:金子 勝 著:児玉 龍彦 カタストロフとは、安定的な状況が突然破局する現象を説明するための数学モデルだとおもっていました。 でも、ちょっと、主旨がちがっていました。 ここでは、コロナの変種、経済危機がくりかえし発生することを説明するのに使われています。 あるいは、経済が周期的に変化していく内容を、カタストロフをつかって説明しようとしている書です。 内容はこうです ①生物も繰り返し変わっていくが、ある限界までは、「安定的な構造」を保ち、変化は予想される範囲に収まる ②しかし、不安定な循環が重なり、「安定的な構造」が壊れ、分岐点を迎え、それを経て、次の「安定的な構造」を生み出す ③さらに、初期値、または、周辺条件が限界を超えて変化すると、カタストロフと呼ばれる予測と異なる、大きな構造的変化を引き起こす 一般的にカタストロフとは、崩壊、と考えらえているが、実は一つの周期であり、局所的な変曲点なのである ⇒ 毎日は、単なる日常の連続ではない ⇒ 漸進的に変化していくプロセスでもない ⇒ 歴史は、断絶する非線形的変化をもたらす ⇒ 変化が周期的に繰り返されるうちに、予想もしない、大変化が生じる、それがカタストロフだ 気になったのは次です ・社会のパラダイムシフトは、50年周期で発生する。ヨーゼフ・シュンペータのコンドラチェフ循環をいう 経済の4つの循環 40か月 在庫循環 キチン循環 10年 通常の景気循環、設備投資の周期 ジュグラー循環 20年 建築循環 クズネッツ循環 50年 コンドラチェフ循環 ・50年周期の政治諸制度の変化 1873 年大不況 パスク・ブリタニカの出現 1914 第一世界大戦 大衆民主主義の台頭、ロシア革命 1960 ベトナム戦争 金準備の現法、貿易赤字により、パクス・アメリカーナの転換 2001 同時多発テロ ・なぜ、景気循環はうまくいかないのか ①同じ周期を繰り返すように見えて、変化しながら周期を繰り返す ②ある種類の周期は繰り返しながら、同時に、いくつもの異なる周期が重なり合う時が生じる ③周期の過程で生み出されるカタストロフの中には、周期性自体の自壊を引き起こすケースがある ・日本経済の弱体化 1986年日米半導体協定により、コンピュータなどの先端技術の衰退がはじまる 2008年リーマンショック 2011年福島第一原発 2012年財政赤字下での金融緩和 いまや国債の累積額は1000兆円をこえ、わずかな金利上昇でも国債費が大きく膨張するに至る ・コロナ禍の成果 ①19世紀は血清を生み出した ②20世紀前半に、有機化合物 ③20世紀後半に、たんぱく質製剤によるバイオ医薬品 ④21世紀前半に、RNA医薬品の登場 ⇐ コロナによる 目次 はじめに――「現代カタストロフ論」とは? 第一章 カタストロフはどのように起こるか 1 新しい時代が始まる 2 繰り返す変異株の波――リアルタイムの進化の観測 3 五〇年周期で起きる政治経済の大転換 4 生命科学の五〇年周期のパラダイムシフト 5 イノベーションと創造的破壊 6 五〇年周期の政治諸制度の変化 7 新しい政治的分断と格差・貧困の拡大 8 人口減少と社会保障費削減の悪循環 第二章 なぜカタストロフに行きつくのか?――周期のメカニズム 1 繰り返しながら変わっていくことの科学 2 なぜ変異株が周期的に襲ってくるのか? 3 周期的カタストロフをデータから解き明かす 4 重なり合うカタストロフ 5 経済を周期で見る景気循環論 6 従来の景気循環論の問題点 7 自壊に向かう循環 8 カタストロフの底へ向かう循環――戦争とパンデミックの時代 第三章 カタストロフから新しい世界を創る 1 グローバルな感染症と向き合う 2 少子高齢化に対応した新しい産業革命 3 先端産業の衰退を克服する 4 地域からエネルギーと情報と生活のフィードバックを あとがき ISBN:9784004319535 出版社:岩波書店 判型:新書 ページ数:238ページ 定価:860円(本体)ISBN:9784004319535 出版社:岩波書店 判型:新書 ページ数:238ページ 定価:860円(本体) 発行年月日:2022年12月 発売日:2022年12月22日 発売日:2022年12月20日
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原因と影響の限界を知ること。縁や偶然性。森の世界観。頭、理解の変化はパラダイムシフトなら、体、核の変化はカタストロフみたいなものかなと。人間社会もそうだし、一人の人間でも同様だと思った。あとまぁ、シシオドシみたいに閾値超えるのは当然で、直線に進むと思っているからびっくりするのだろ...
原因と影響の限界を知ること。縁や偶然性。森の世界観。頭、理解の変化はパラダイムシフトなら、体、核の変化はカタストロフみたいなものかなと。人間社会もそうだし、一人の人間でも同様だと思った。あとまぁ、シシオドシみたいに閾値超えるのは当然で、直線に進むと思っているからびっくりするのだろう。食ったら出るし。
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金子勝さん、児玉龍彦さん、ポッドキャストで聞くお話は軽妙でわかりやすく、いつももっと知りたいとの思いを喚起されている。 本書を読んでコロナのことや経済のことが科学的に分析され、安倍政治がいかに場当たりで非科学的かよくわかる。しかしカタストロフ論というのはどうも難解すぎて戸惑う。 ...
金子勝さん、児玉龍彦さん、ポッドキャストで聞くお話は軽妙でわかりやすく、いつももっと知りたいとの思いを喚起されている。 本書を読んでコロナのことや経済のことが科学的に分析され、安倍政治がいかに場当たりで非科学的かよくわかる。しかしカタストロフ論というのはどうも難解すぎて戸惑う。 無策かつ愚鈍な為政者、いま儲けることしか頭にない財界人、日本を牛耳る彼らの指揮のもとでは日本は落ちていくしかないだろう。 後期高齢者のひとりとなった自分は、若い世代にディストピアを味わってほしくないのだが。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
社会もウイルスも周期的に変化していくことがよく分かった。とくに新型コロナウイルスは、性質を変え名称を変え何度も襲ってくるので実感がある。 日本のカオス的なカタストロフを防ぐため、地域分散・小規模分散ネットワーク型経済構造を作る必要があるとのことである。この役割はいまだこの国をリードしている、昭和型の、中央集権的志向を持った既得権益層には担えないだろう。 時代を切り拓くロールモデルとして、秋田県大潟村の再生可能エネルギーの地産地消に関する取り組みが紹介されていた。新たな日本の形を示すひとつの具体例であると感じた。
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50年たつと過去の過ちを忘れてしまうだけ カタストロフ理論は1970年代~80年代に小さなブームがあったが、結局のところこの本がそうであるように、社会科学や人文科学で杜撰な使い方をしたために廃れてしまった理論。それから50年たって、社会の混乱やコロナをカタストロフ理論で解き明か...
50年たつと過去の過ちを忘れてしまうだけ カタストロフ理論は1970年代~80年代に小さなブームがあったが、結局のところこの本がそうであるように、社会科学や人文科学で杜撰な使い方をしたために廃れてしまった理論。それから50年たって、社会の混乱やコロナをカタストロフ理論で解き明かすという本がでるのは、歴史の無視感・既視感に驚く。 たぶん、50年もたつと「そんな理論はダメだった」という歴史自体が忘れられて、「カタストロフ理論いいじゃん」というお調子者が現れるということだろうか。そして、数学的理論をテキトーに社会学や経済学に定性的に重ね合わせて、50年周期がどうのこうの言っているのは、50年という時の流れが符合していて、それはそれでおもしろい。まさに「50年周期のカタストロフ論」ではなく「50年周期の忘却の理論」といったほうがぴったり。 本書中にあるウイルスの変異やがん細胞の変異の理論は進化生物学で具体的に解明されてきており「カタストロフ理論」を持ち出す必要はあまり感じない。新型コロナの変異株による感染爆発の波と景気の波を重ね合わせて「現代カタストロフ論」というのはちょっと無理筋すぎる・・・と思う。
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