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SFの気恥ずかしさ の商品レビュー

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2024/03/15

SF作家であり、評論家でもあるディッシュの評論を集成した本。自身が持つSF観と、SFに対する愛憎入り混じる感情がさく裂しています。 表題の評論「SFの気恥ずかしさ」は一番最初に収録されており、様々なSF作品の特徴を論じつつ、SFの”文学性の低さ”なんかについて書かれていました。デ...

SF作家であり、評論家でもあるディッシュの評論を集成した本。自身が持つSF観と、SFに対する愛憎入り混じる感情がさく裂しています。 表題の評論「SFの気恥ずかしさ」は一番最初に収録されており、様々なSF作品の特徴を論じつつ、SFの”文学性の低さ”なんかについて書かれていました。ディッシュは論じる際に「文体」について意識が向くことが多いようで、しょっちゅう話を文体に持っていくなあと思いつつ、その分析は明晰かつ精細、切れ味鋭い評論となっていて読み応えがあります。 以降、数多くのSFに関連する評論が収録されており、サイバーパンクについてや、SF映画について、A・E・ヴァン・ヴォークトについてなどなど多方面にわたって切り込んでいきます。そしてだいたいの評論が辛口なのも特徴。おそらくユーモアとアイロニーが著者の持ち味なんでしょうね。忖度なんぞ知らんというようなズバズバとした論調は読んでて胸がすくようでした。ちなみに本書が本国で出版されたのは2005年で、収録されている評論は1960年代~1990年代くらいのものが多いです。ディッシュの基本スタンスが「SF読者のモデルは子ども」ということもあり、読んでいて古くさく感じたり、反感を覚える可能性もあるけれど、やはり文章それ自体が面白いし、その上で「とかなんとか言ってあなたもSF好きじゃない」という気持ちになるので、SFが好きな方なら手に取って損はないかと。 きっとディッシュは自身がSF作家であることを誇りに思うがゆえに、ジャンル全体をさらなる高みへ押し上げるたくて、こんな挑発的な文章を書いたんじゃないかな。そう考えるとどの文章も妙な味わい深さを覚えます。

Posted byブクログ