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左手のための二重奏(7) の商品レビュー

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2022/12/30

前巻にて彰を連れ回していたシュウ。どうにもその理由は友達作りに有ったようで 時折忘れそうになるけど、シュウって元々は手の付けようがない不良だったんだっけ。だから普通に友達を作る遣り方を知らないし、同年代に自分をアピールする方法も知らない 彰にはその言葉少ない不器用さが合っていたわ...

前巻にて彰を連れ回していたシュウ。どうにもその理由は友達作りに有ったようで 時折忘れそうになるけど、シュウって元々は手の付けようがない不良だったんだっけ。だから普通に友達を作る遣り方を知らないし、同年代に自分をアピールする方法も知らない 彰にはその言葉少ない不器用さが合っていたわけだけど、他の者にはそうではない 転校早々に不良のレッテルを貼られ、財布泥棒疑惑まで シュウには唯でさえ高いハードルが更に高くなった形。けどその不利を不利と思わずに、楽しい学校生活にしたいと猛進するシュウの姿には好感が持てるね 彼が言うようにピアノも友達作りも同じなんだろうなぁ 本格化していくピティカ予選、その渦中に躍り出るのはシュウと一緒に修行した自称姉のルカですか シュウにとって姉弟子に当たる存在。当然のようにピアノの腕はシュウより良いし、シュウの振り回し具合も中々のもの シュウに本選出場は無理と断言する彼女のピアノはこれまでと次元の異なるものだったね ていうか、爪を尖らせるように弾くってトンデモナイ弾き方だな…… シュウは確かに短い期間にかなり上達した。けれどそれは上手く弾ける様になったという話で、ルカが見せるのは技術より上の話 ここで『解釈』というクラシックを語る上で外せない要素を『残響』という形で描くのは面白いね 圧倒的な『解釈』を他の演奏者、審査員に聞かせることで他の『解釈』や響いた音を塗り潰してしまう シュウが知らない新境地。高校生編ではこれを土台にピアニスト達の共演を描いていくことになるのかな? 当然、シュウに求められるのは独自の『解釈』。それを見た事もない「モルダウ」によって形作るなんていきなり難易度の高い…… おまけに左手に宿る灯は既に「モルダウ」の『解釈』を持っている。中学生時代は単純な技量によりシュウを置いてけぼりにしていたというのに、『解釈』でもシュウを置いてけぼりにしてしまいますか 『解釈』とは自分の感情の発露。それは意図的に『解釈』を曲に載せていなくても人に伝わる事が有る。ルカの場合はシュウのピアノから寂しさを感じ取ったようで でもそれはシュウにとって誤った『解釈』だから、逆に自分がどのような演奏を披露しなければならないか、灯と共にどのような道を進んでいきたいかがはっきりする シュウを弟として可愛がろうとするルカ。彼女に自分の音楽とは何かをはっきり示した展開は素晴らしいね ピアニストへの道をシュウは自分の夢として何処まで目指せているのか その疑念を自分の中にあるのは「影」ではなく「灯」だとの『解釈』を示したシュウは既に一端のピアニストだよ

Posted byブクログ