最後の一杯 の商品レビュー
アルコール依存症と戦った内科医の手記。いかに飲酒渇望と戦うか、生々しくかつドラマティックに記述されている様子は臨床現場でも実感する。最終的には著者はバクロフェンによる自己治療で回復の道に至るわけであるが。著者も言うように現在の依存症治療は効果的と言えるものは少なく、回復率も悪い。...
アルコール依存症と戦った内科医の手記。いかに飲酒渇望と戦うか、生々しくかつドラマティックに記述されている様子は臨床現場でも実感する。最終的には著者はバクロフェンによる自己治療で回復の道に至るわけであるが。著者も言うように現在の依存症治療は効果的と言えるものは少なく、回復率も悪い。著者は既存の自助グループも含めた心理教育的治療を熱心に行っても回復が難しかった。この病気の生物学的側面と非生物学的側面を感じさせるものである。近年、生物学的治療も、以前に比べれば選択肢は増えてきたが、効果は不十分である。いつかは治る病気になるように研究が進むことを期待するし、しかしそれが現在の治療形態を否定するものではないことは言うまでもないだろう。訳者の力か、こなれた訳で、小説を読むように一気に読めた。
Posted by
- 1