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アロマの国だより ストイッツォの長い旅 の商品レビュー

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2022/12/16

中世の南仏プロヴァンス地方を舞台としたファンタジー小説。アロマの国はアロマ妖精の住む国である。表紙には「『香り』の力で人を救おうと奮闘するアロマ妖精たちの物語」とある。これはハイ・ファンタジーと思ったが、ロー・ファンタジーであった。アロマ妖精は、それほど前面に出ていない。人間中心...

中世の南仏プロヴァンス地方を舞台としたファンタジー小説。アロマの国はアロマ妖精の住む国である。表紙には「『香り』の力で人を救おうと奮闘するアロマ妖精たちの物語」とある。これはハイ・ファンタジーと思ったが、ロー・ファンタジーであった。アロマ妖精は、それほど前面に出ていない。人間中心の物語である。 著者は企業でソフトウェア開発をしていたが、体調を崩して退職した経験から健康に関心を持ち、アロマテラピーを広めている。裏表紙の説明文は「気付けばアナタも「香りの科学」アロマテラピーの奇跡に導かれる」で結ぶ。これらからはアロマテラピーの紹介がメインと想像したが、物語そのものの世界ができている。 「トック、ストイッツオを蹴る、蹴る、そして、蹴る」という章がある。イジメや虐待の話かと思ってしまった。 巻末にはアロマテラピーの解説がある。「アロマテラピーで使われる精油は、多種多様の揮発性化学成分の集合体です」(174頁)。香りは化学構造によって作られる。アロマテラピーと言えばナチュラルなイメージを抱く向きもあるかもしれないが、その種の漠然とした期待に冷や水を浴びせる。正直なところ、化学物質と思うと少し萎える。そのようなものであると正しく理解してアロマテラピーを楽しむスタンスであり、良心的と言えるだろう。 本書は高血圧の方は使わないようになど人体への危険性も書いている。「そもそも精油の含有成分については、100%解明されているわけではありませんが、持病のある方は特に君子危うきに近寄らずの精神も持ってアロマテラピーをお楽しみいただきたい」と書いてある(173頁)。紹介したいもののメリットだけでなく、不利益事実も記載することは好感が持てる。 アロマの原料の樹木の中には乱伐され、ワシントン条約で規制されているものもある(181頁)。持続可能な開発目標SDGs; Sustainable Development Goalsのゴール12は「つくる責任つかう責任」である。消費者としては原料の持続可能性も考えたい。

Posted byブクログ