天使たちの都市 の商品レビュー
この七編の小説の登場人物は全員背景がとても重い。 海外養子についてはこれまでもよく小説やドラマ(韓流ヒットドラマにも普通に出て来る)にも出てきたし、朝鮮族も知っていたが高麗人三世とかウズベキスタンとのつながりとかまでは知らなかった。 半島である韓国は日本より民族や国境に関わる色々...
この七編の小説の登場人物は全員背景がとても重い。 海外養子についてはこれまでもよく小説やドラマ(韓流ヒットドラマにも普通に出て来る)にも出てきたし、朝鮮族も知っていたが高麗人三世とかウズベキスタンとのつながりとかまでは知らなかった。 半島である韓国は日本より民族や国境に関わる色々な事情がある。 また貧富の格差、競争社会のし烈さは有名だ。お金がほしい、それでなにかというわけではないけどお金が要る、この国では金が要ると顧客の金に手を付け家族を、最終的には自分自身という存在すら失ってしまう男やセクハラが横行する研修や舞台のチャンスを眼病で失ったことですべて無くす駆け出しの女優などその激しい社会に置いていかれてしまった人たちばかりが出て来る。 「そして、一週間」の孤独から外国で突発的に性行為を行ってHIVに感染したかもしれない女性がとどめとばかりに「推している相手」からストーカー扱いされやんわりと出禁を食らう話、アイドルなどではなくそんなに有名でもなさそうなアナウンサーというのもきつい。彼女的には自分の身の丈にあった推し相手と判断してたのではと思えるし、その親近感を一方的に覚え拒絶されるのだから。 けれどやりきれないほどのダメージを受けないのだ。キム・ヘジンやキム・エランの小説で受けるような苦しみの海に沈められるような感じはあまりしない。 それはおそらく針さき程の光をそこにいれているからだと思う。「女に道を聞く」でナツメの木は死んではいなかった、そのなかに命があったという描写に通じるものがだいたいの小説にはある。 訳者のあとがきを読むと色彩の描写がモノクロになる世界に差し込むことでその雰囲気を作っているようだ。彼女を見出したひとりがチョン・セランだったと知り、確かに彼女の世界にも通じるものがあるなと納得した。チョン・セランの小説は一見明るくきらきらしているけど「アンダー、サンダー、テンダー」のような一筋の光を描くのが彼女の真骨頂じゃないかと思うので。 チョン・ヘジンのこの短編集の光は本当に細いけれどそれでもちゃんと世界を照らしている
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チョンは韓国語教師。韓国に来た外国人に韓国語を教えるのだ。彼らは最初三か月のコースに入ってくる。一日2時間で週に三日の授業だ。母語との大きな違いに彼らは戸惑い、二か月を過ぎると休みだす者が出てくる。そんな中で君は最後までクラスに出ていた。出席者が少なくてクラスが閉講になると彼に会...
チョンは韓国語教師。韓国に来た外国人に韓国語を教えるのだ。彼らは最初三か月のコースに入ってくる。一日2時間で週に三日の授業だ。母語との大きな違いに彼らは戸惑い、二か月を過ぎると休みだす者が出てくる。そんな中で君は最後までクラスに出ていた。出席者が少なくてクラスが閉講になると彼に会う回数が増えた。(天使たちの都市より)趙海珍(조해진)の短編集。他者の心に視線を寄せる作品を書き続けているという。
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