恐怖の美学 なぜ人はゾクゾクしたいのか の商品レビュー
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"恐怖"という感情はなぜ起こるのか。本来は危険を察知するもの、あるいは不快であるはずの恐怖を、一方でなぜ我々はわざわざ求めるのか。100冊超の幅広いジャンルの文献や絵画、そして記号論を駆使して考察した1冊。 大半がアトリエサード社の雑誌(『トーキングヘッズ叢書』や『ナイトランド・クォータリー』)が初出の記事で、70'sオカルトブームやUFO、日野日出志に中岡俊哉、寺山修司にエヴァンゲリオン、さらには毒親等々採り上げられた書籍は幅広い(NLQに掲載された"怖い絵"的記事も)。それらを集約したうえで、恐怖を生み出すメカニズムと、恐怖が現代の我々にこそ必要であると熱く主張する。 “恐怖”を考察するこの手の書籍はどうも論を捏ね繰り回した挙げ句今イチ消化不良な事が多い気がするが、こちらは遡上に上がる文献やテーマが(特に前半)時代的に一種の胡散臭さを帯びるためか、全体的にポップで肩が凝らない。後半部時折著者の政治的スタンスがチラついて(ん……)となるとこもある、が。
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