言語はこうして生まれる の商品レビュー
言語がなぜ単純化されるのか?複雑性を回避する言語の動態にすごく納得。残る謎(いや残る謎だらけではあるんだけど)としてオノマトペが存在する言語、存在しない言語の、言語の習得過程について知りたい。
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タイトルから少し重たい本かな?と思い、ついつい積読をしていたのだが、読み始めると止まらず一気に読んでしまった。言語という文化への視野が増えたように思える。 単語の意味を覚えたり理解するのではなく、如何にチャンク(かたまり)で前後と共に覚え、互いの背景、フィールドを理解してコミ...
タイトルから少し重たい本かな?と思い、ついつい積読をしていたのだが、読み始めると止まらず一気に読んでしまった。言語という文化への視野が増えたように思える。 単語の意味を覚えたり理解するのではなく、如何にチャンク(かたまり)で前後と共に覚え、互いの背景、フィールドを理解してコミュニケーションをするのか。単語の意味に囚われていた私にとって、考え方を180度変えてくれた。 AIの大規模言語モデルも、AIに一つ一つの単語の意味を教え込むのではなく、その文脈の確率を覚えさせているのだと言う。例えば「空」という単語の前に付く形容詞は「青い」が多く、「黄色い」が少ないように。そうやって、文脈の単語間の組み合わせの確率を覚えていき、あたかも意思があるような自然な文章を生成する。この不安定さが言語であるのだ。
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書き言葉ではなく話し言葉に注目し、ジェスチャーゲームから言葉が生まれたと考える。もちろん言葉の起源に立ち合うことはできないので、その説はなかなかに検証することは難しいのだが、ある程度の説得力はあり、今後それなりの影響力を持つ説となるだろうことは簡単に想像できる、それほどの内容であ...
書き言葉ではなく話し言葉に注目し、ジェスチャーゲームから言葉が生まれたと考える。もちろん言葉の起源に立ち合うことはできないので、その説はなかなかに検証することは難しいのだが、ある程度の説得力はあり、今後それなりの影響力を持つ説となるだろうことは簡単に想像できる、それほどの内容であった。特に会話における脳の情報処理能力の限界に注目したのは慧眼であると思う。
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言語をジェスチャーゲーム、つまりその場その場の約束事の積み重ねとして捉える視点は大層面白く、説得力も十分あった。「正しい言葉」を求めてやまなかった人々の話も身につまされる。 また3.0のころではあるが、ChatGPTが引き合いに出され、AIが言語の背景をまるで理解していないことが示されるくだりはなるほどを膝を打った。
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人間の言語はどうやって生まれたのか、それはジェスチャーゲームのようにその場にいる相手に情報を伝えようとする動きが言語につながったのではないかというのが、この本の内容である。 少し前まではチョムスキーの言語本能が有力な説とされていたが、言語は本能的なものでなく文化的なものであると...
人間の言語はどうやって生まれたのか、それはジェスチャーゲームのようにその場にいる相手に情報を伝えようとする動きが言語につながったのではないかというのが、この本の内容である。 少し前まではチョムスキーの言語本能が有力な説とされていたが、言語は本能的なものでなく文化的なものであると著者たちは言っている。 子供が言葉を覚えるのに必要なのは、言語体験の繰り返しであってただテレビを見ていれば覚えられる訳ではない。 人間の会話は文脈やその会話の背景から判断をしていることが非常に多く、通常の会話は正しい文法に則って話せている訳ではなく、最後まで話さないまま話者が交代したり、繰り返したりすることがほとんどである。 チャンク(フレーズ)を覚えて使い回す中で間違いを修正したり、適切な言い方を発展させることで言語を使えるようになってゆく
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コミュニケーションについて興味、関心があれば読むべき本。認知科学者二人による。事例による例示が多い。 私自身の興味分野でもあり、かつ、かなりの分量、結論→説明の順でない、などの体裁により読むのには一苦労。1日かかってしまった。 ヴィトゲンシュタインな哲学論考、言語ゲーム。コミュニケーションの基本となるジェスチャーゲーム。ノーム・チョムスキーの生成構文。などが本書のキーワード。 本書における筆者の主張。そのひとつが言語に正解はないということ。また、法則があるようで実は例外もたくさんあるということ。生活や文化的な背景によりその言語の利用が制限されてしまうということ。 言語に対する絶対視。正解を求めがち。これは教育の負の側面のあらわれだろう。コミュニケーションが苦手な理系の科学者。即興劇、インプロビゼーションをやらせたところ、改善したという事例がある。なるほどだ。 これらの状態をゲームと呼んだヴィトゲンシュタイン。そしてジェスチャーゲームから着想を得た本書。 言語やコミュニケーションの思い込みをアンラーニングするのに役立つ。
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レビューはブログにて https://ameblo.jp/w92-3/entry-12802994367.html
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普遍文法への真っ向勝負。 言語は文化的な産物なのだという主張は、近年の言語生得説に対する見方とは違う観点を学ばせてもらいました。 最後のAIへの知見は、シンギュラリティ到達に戦々恐々としている私としては安心材料の補強になりました。ChatGPTが世間を賑わせていますが、無数の...
普遍文法への真っ向勝負。 言語は文化的な産物なのだという主張は、近年の言語生得説に対する見方とは違う観点を学ばせてもらいました。 最後のAIへの知見は、シンギュラリティ到達に戦々恐々としている私としては安心材料の補強になりました。ChatGPTが世間を賑わせていますが、無数のデータの蓄積を統計的に紡ぎ合わせているだけで人間的な相互関係を加味したやり取りにはまだ至っていないのだという。でも、ニューラルネットワークの底力はムンムン感じますよね。 後は、「3000万語の格差」についての言及で、子どもに単に単語数を稼いで浴びせまくるのではなく、家族との会話に引き入れて相互作用を組み入れることが肝要だという。これは、元々聞き及んでた内容のアップデートでしたね。 世界7000語の多様性を前にしたら、全言語に当てはまる普遍文法の探求なんて可能なのかしらと訝しんでしまう素人ですが、ここいらに関連した書籍を読み進めてみようと興味が高まりましたね。
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図書館でそのうち借りて読もうかと思いつつ、けっきょく買ってしまった。積まずにすぐ(春休みのうちに)読もう。 …といいつつ、けっきょく読み始められないまま新学期に入ってしまって積読の山にうもれかけたが、web考える人の今井むつみ✕高野秀行の対談に登場してて、これはやっぱり早く読ん...
図書館でそのうち借りて読もうかと思いつつ、けっきょく買ってしまった。積まずにすぐ(春休みのうちに)読もう。 …といいつつ、けっきょく読み始められないまま新学期に入ってしまって積読の山にうもれかけたが、web考える人の今井むつみ✕高野秀行の対談に登場してて、これはやっぱり早く読んだほうがいいと掘り出してきた。(5月末)
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実に大胆な本だ。常識的に考えれば私たちは外在する/外にあらかじめある言語体系を学び、それを自家薬籠中の物としてそれからコミュニケーションを開始する、となるだろう。しかし著者たちは私たちの言葉が「即興」と「ジェスチャーゲーム」で成り立っていると喝破する。そして、その偶然性に支えられ...
実に大胆な本だ。常識的に考えれば私たちは外在する/外にあらかじめある言語体系を学び、それを自家薬籠中の物としてそれからコミュニケーションを開始する、となるだろう。しかし著者たちは私たちの言葉が「即興」と「ジェスチャーゲーム」で成り立っていると喝破する。そして、その偶然性に支えられたコミュニケーションが進化することが人間の進化とシンクロしたのだ、と。私は言語学に関してはまったくもって門外漢なので真偽の判定はできないが、リアリティを感じる理論だと思う。コミュニケーションの偶然性と奇跡。そこから哲学を見出せるか
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