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かつてそのゲームの世界に住んでいたという記憶はどこから来るのか の商品レビュー

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2023/05/13

難解で挫折しそうな内容を何とか目で追ったという感じの読書。こういう何度も読む事で、理解できるコンテクストがじわっじわっと増えていく噛めば噛む程の味わい深い本も悪くない。しかし、まだまだ薄味、理解及ばす。 人間の意識や心を解読したり、計算可能であることを前提に現在の脳科学や認知科...

難解で挫折しそうな内容を何とか目で追ったという感じの読書。こういう何度も読む事で、理解できるコンテクストがじわっじわっと増えていく噛めば噛む程の味わい深い本も悪くない。しかし、まだまだ薄味、理解及ばす。 人間の意識や心を解読したり、計算可能であることを前提に現在の脳科学や認知科学人工知能の研究は進められている。これが本著の出発点。意思決定は、計算が完了することによって実現され、計算そのものは脳と言う神経細胞のネットワークで実現されている。つまり意識とは、局所的に計算される部分をつなぐ計算、関係性それ自体だと。 著者が言う天然知能。人工知能と対立するものではなく、肯定的アンチノミーと否定的アンチノミーの共立により構造化されるもの。そして、量子論理を直接的に導き、それが認知の有するアンチノミーに関与する事を示す。本書は意識に関する理論書だと。アンチノミーとは二律背反の事だが、この部分を読んでもちんぷんかんぷん。ただ、直感的に読み替えるなら、人間は恐らく目に入る客観的事象を、誰もが同じようには認識していない。古くて白い鍋として認知する人もいれば、汚い銀のバケツとして知覚する人もいる。本著が言う、蟻の群れや粘菌に錯視が成立するように、脳は何らかの意味を見い出そうとする。 チンパンジーが叩くタイプライターはただの機械的操作であり、その文字配列に意味を与え選択するのは人間。作家性は人間に存在する。前後の時間軸、つまり行動理由や経緯、歴史認識を付与し、擬人化して解釈しようとする。 人間は、人間同士であれ自らの論理世界に取り込むために擬人化してこれを捉える。人間は動きが複雑だから擬人化に瞬間かつ持続的な処理を求められるという点が違うだけで、愛着のある思い出の品と、実は、大きく変わらない。意識とは解釈。自己世界に捉える事と言えるだろうか。

Posted byブクログ