「俳優」の肩ごしに の商品レビュー
稀代の名優の自伝。 山﨑氏本人の語り口調で書かれているが、朗読が聴こえてくるよう。 「素人に見えるくらいうまい」が理想というのは、すごく印象に残った。若いころの苦労や挫折と、それを乗り越えてきた努力と俳優への熱意も伝わってくる。 今なお「勇気をもって投げ出すこと。守ってはいけない...
稀代の名優の自伝。 山﨑氏本人の語り口調で書かれているが、朗読が聴こえてくるよう。 「素人に見えるくらいうまい」が理想というのは、すごく印象に残った。若いころの苦労や挫折と、それを乗り越えてきた努力と俳優への熱意も伝わってくる。 今なお「勇気をもって投げ出すこと。守ってはいけない。」という。老害にならない秘訣かもしれない。 個人的には「男はつらいよ」や「必殺仕置人」、「九門法律相談所」の話も「聴き」たかった。
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山﨑努さんを初めて意識したのはTVドラマ「クロサギ」だったはず。僅かな登場シーンであっても圧倒的な存在感を持つ俳優だという認識はあったが、それを裏付けるかのような自伝だった。疎開先で過ごした幼少期や俳優座での修業時代に始まり、三島由紀夫や黒澤明監督との出会いなど、登場する面子がビ...
山﨑努さんを初めて意識したのはTVドラマ「クロサギ」だったはず。僅かな登場シーンであっても圧倒的な存在感を持つ俳優だという認識はあったが、それを裏付けるかのような自伝だった。疎開先で過ごした幼少期や俳優座での修業時代に始まり、三島由紀夫や黒澤明監督との出会いなど、登場する面子がビッグネームばかりで圧倒される。自身を俯瞰するようなユーモラスで独特の語り口調も味があり、何よりも文章が上手い。演技に対する真摯な姿勢が伝わる芝居論も実にストイックだ。俳優とは本来これ程の熱力なしには務まらぬ職業なのではあるまいか。
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芝居を始めた頃の山崎氏のギラギラした姿が目に浮かぶようで嬉しい。しばらくお仕事から遠ざかられていて寂しく思っていたが、またTVでお芝居を拝見出来、SNSで呟きも聞け、本まで読ませていただけて、こんな日が来るとは思わなかった。有難や。
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三島由紀夫、安部公房、遠藤周作など、名だたる作家さんの名前が脚本家としてサラッと登場し、時代を感じると共に、当然ながら読んでいて、当の作品を観たくなった。 即興風の書き方で、繋がりつつ、短く区切った話が順々に繰り広げられ、頭に入りやすいので一気に読めた。本を読んだというよりは、ド...
三島由紀夫、安部公房、遠藤周作など、名だたる作家さんの名前が脚本家としてサラッと登場し、時代を感じると共に、当然ながら読んでいて、当の作品を観たくなった。 即興風の書き方で、繋がりつつ、短く区切った話が順々に繰り広げられ、頭に入りやすいので一気に読めた。本を読んだというよりは、ドキュメンタリーかトークショーのような、録画していた番組を1つ見終えたような読後感だった。 渋い役の演技の印象が強く、山崎さんについては漠然としたイメージしか持っていなかったが、それでもどこか惹かれるところがあり本著を読んでみた。意外と受け身(自分で役を決めない)だったり、芝居とはこうだ!と定まったものではなく自由であるべきだとか、人間くささを感じ、親近感が湧いた。
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筆者の言葉がスルスルと入ってきて一気に読んでしまいました。おこがましい話ですがこの方の世界の捉え方は自分とよく似ていると思いました。
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とにかく読みやすい。 山ぴーが敬愛する著者。 「早春スケッチブックのイメージが強すぎて。 でも本人も自分に近い役だったって。山田太一のドラマには無条件で出る、次に脚本も待ってるって。 あー最近山田太一のドラマ、観てないなぁ。 もうお年もお年だし。 って調べたら2017年に脳出血で...
とにかく読みやすい。 山ぴーが敬愛する著者。 「早春スケッチブックのイメージが強すぎて。 でも本人も自分に近い役だったって。山田太一のドラマには無条件で出る、次に脚本も待ってるって。 あー最近山田太一のドラマ、観てないなぁ。 もうお年もお年だし。 って調べたら2017年に脳出血で倒れてもう原稿は書けないとか。 でも決して悲観的ではなく「限界を知るのも人生」とか。 なんか、山崎努と山田太一、相通じるものがあるんだろうな。 岸田今日子とはお友達で(彼女が亡くなるまで)、テレンス・ナップとは生涯の親友だったんだね。 彼の2019年に鬼籍に入ったのね。 どんどん親しい友人が亡くなっていくってどんなに寂しいだろう。 彼の出るドラマは無条件で観よう。
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著者の幼少期から現在に向かって進んでいくが、しだいに著者の人生から醸成された俳優論、演劇哲学の話に展開されていくのがおもしろい。淡々としているが、ユーモラスでチャーミングな語り口。至近距離で、著者の独り語り芝居を見ているような感覚だった。
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