大インダス世界への旅 の商品レビュー
インド北部ラダック地方の本を読んで、そこらへんの地域に興味を持ち、読んでみた。 著者は今は写真家、文筆家だが、もともとは岩壁や高峰を登る「山ヤ」だったとある。1993年に初めてカラコルム登攀をして、紺碧の空にそそり立つ天を衝く大岩壁などの景観と、そこに暮らす人々に魅せられたとあ...
インド北部ラダック地方の本を読んで、そこらへんの地域に興味を持ち、読んでみた。 著者は今は写真家、文筆家だが、もともとは岩壁や高峰を登る「山ヤ」だったとある。1993年に初めてカラコルム登攀をして、紺碧の空にそそり立つ天を衝く大岩壁などの景観と、そこに暮らす人々に魅せられたとある。 そんな著者が何回かにわたり、インダス河の源流から河口の町や山をめぐったことを書いている。時期は2003年から2007年あたりのようだ。年月日は文中に気まぐれにでてくるだけなのであまりはっきりとはわからない。原稿を書いているのは2022年とあるので、あの時はチベットを自由旅行できたが今はだめ、とかラダック地方も著者が行ったときはジャンムー・カシミール州だったが、今はインド直轄地だ、とか、この中国、インド、パキスタン、アフガニスタンの国境地帯の不安定な社会情勢が伝わってくる。 今まで知ることのなかった地方や民族を知ることができ、とてもよかった。それに文中から伝わる著者の雰囲気がよかった。おおざっぱな地図はあるのだが、もっと詳しい地図があるとよかった。グーグルマップを見ながら読む。 メモ ・アザド・カシミールにもなんとか入国したが、ずっと警官がついていた。 ・フンザ地方にも行ったが、フンザ人は登山のまとめ役をするようになった。1974年までは「ミール」という藩主が統治する小さな王国だったが、中央アジアやバルディスタン、カシミール、中国、アフガニスタンに囲まれているため、複数言語が話せて、人との協調性が高いからだという。民族学的にはよくわかっていなくて、ブルシャスキー語という独自言語を話し、金髪碧眼肌が白い人も少なくない。 ・しかし、ポーターはバルティ人。バルティ人は5,600年ほど前にチベットから移住してきた末裔と言われ、外見は日本人と似ている。数字も「チー、ニ、スム、ジー、ゴ」だという。チベット語もほぼ同じ発音という。フンザ人とバルティ人は意思疎通の際はパキスタンの公用語のウルドゥ語を使う。 ・アフガニスタンでは空洞になった石仏跡を見る ・カラーシャ族 ルンブール谷にいるカラーシャ族をこの本で初めて知った。ルンブール谷はパキスタン北西辺境州というところにありアフガニスタンと国境を接している。カラーシャ族はイスラム教でも佛教でもヒンズー教でもなくアニミズム的多神教を信じる。チトラールという町から数十キロにあるルンブール谷、ブンブレット谷、ビリール谷に暮らしている。なんと日本人女性わだ昌子さんがルンブール谷の奥バラングル村に暮らしている。著者とは旧知。旅行で訪れ魅せられ現地男性と結婚し1980年代後半からNPO「ルンブール福祉文化開発組合」を組織する。 わだ晶子さんのブログ ルンブール谷 https://kalashapakistan.jimdofree.com/ カシミール地方 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%B7%E3%83%9F%E3%83%BC%E3%83%AB 表紙上段の雪山は「カン・リンポチェ山」チベット高原西部にインダス河の源流はこの山の北側にある。 「季刊民俗学」(国立民増額博物館)に連載した記事が元だが、単行本用に書き直しているうちほぼ書き下ろしとなってしまった、とある。 船尾修:1960神戸市生。筑波大学生物学類卒。先鋭的なクライミングにのめりこみ国内外で数々の記録的登攀をなしとげた後、アフリカを2年間放浪旅行したことがきっかけで写真家へ。 船尾修氏HP https://www.funaoosamu.com/ 2022.11.26初版第1版 図書館 カラーシャ族も検索すると、けっこう出てきた 朝日新聞GLOBE(乗京真知記者)わだ晶子さんの記事 2021.6.11 https://globe.asahi.com/article/14368475 朝日新聞記事(乗京真知記者) 世界を食べる わだ晶子さんと会っていた。2019.7.15 https://www.asahi.com/articles/ASM7975D6M79UHBI03T.html NPOジャスミン 青い目のパキスタン人カラーシャ2020.4.28 https://jasmine-friends.com/pakistan-info/kalasha-pakistan
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今では、行く事が困難な場所。行ってみたい。昔なら、行き来出来た場所が、行けなくなっていく。中国、ロシア、東欧の幾つかの国々。平和と自由を。
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世界を放浪しクライミングに命をかけてきた著者が、山を越え国境を越え紛争下を歩き通い続けた大河インダス流域の魅力を、迫力ある写真と味わい深い文章で紹介。ラダック、ザンスカール、カシミール、カラコルムなど、源流から河口までの大自然と民俗・文化を探訪する。素朴で不思議な人びとの暮らしと...
世界を放浪しクライミングに命をかけてきた著者が、山を越え国境を越え紛争下を歩き通い続けた大河インダス流域の魅力を、迫力ある写真と味わい深い文章で紹介。ラダック、ザンスカール、カシミール、カラコルムなど、源流から河口までの大自然と民俗・文化を探訪する。素朴で不思議な人びとの暮らしと思いに迫る。カラー写真多数! 1章 チベット人の聖山カン・リンポチェを巡礼する 2章 ラダックの仮面舞儀礼 3章 ザンスカール 幻の「氷の回廊」をゆく 4章 国境未確定の「観光地」カシミールの現実 5章 大地震があぶりだしたカシミールの本当の問題 6章 もうひとつの「世界の屋根」カラコルム山脈 7章 三蔵法師もかつて目指した桃源郷スワート渓谷 8章 混迷のアフガニスタンにバーミヤン大仏を見に行く 9章 神々との饗宴に彩られたカラーシャの暮らす谷 10章 肥沃な大地に根付くパンジャーブの歴史と文化 11章 シンド州でインダス文明の残り香を嗅ぐ
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