家族が誰かを殺しても の商品レビュー
みんなに一度は読んで欲しい本。加害者家族とされた途端に、全ての人権と過去から積み上げた名誉が失われる。日本は平和で暮らしやすい国だけれど、加害者家族になってしまったら、地獄になる国。
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「加害者家族も被害者である」本書の中に出てくる言葉にそのとおりと頷くものの、今の日本ではそれはほぼ通用しないのが現実なのは確かだと思われます。著者の本にこれまでも興味はあったけれどもこの度初めて手に取り。 この人はどうして加害者家族支援という活動をしているのだろうか、という疑問も本書でわかった。支援活動に対する意欲というよりかは当初は極めて個人的感情から始まっているというのが興味深かった。でも何を始めるのもきっかけというのはそういうものかもしれないとも思う。 家族連帯責任という考え方について明治時代には法律で認められていたということに驚いた。「縁座」という言葉聞いたことある気がしました。明治時代って法律制定を考えたらそんなに昔という感じはしない。けれど法律で定められるよりも以前からきっと、日本という国では家族連帯責任という考え方はあったのではないかなと思う。 加害者へ厳罰を求めない遺族に対して「遺族らしくない」とバッシングする人間もいるとあるのを読んで恐ろしいと思いました。 「遺族らしくない」ってなんだろう?悲しみや悔しさを表明して号泣すれば、あるいは烈しく怒りを露わにして加害者を糾弾すれば「遺族らしい」のだろうか?何故おかしな正義中毒の人間のために「遺族らしく」あらねばならないのか、ある意味犯罪を犯してしまった人間と同じかそれ以上にそういう人間が怖いと感じましたね。 自分がバッシングされる側に立ったなら、社会生活をやめたくなるほど打ちのめされるでしょう。そういう想像力が働かない事自体が「全き他人事である」立場からの態度だとそういう人間は気づけないのだろうなと思いました。 p287東北弁士連合会定期大会による日本初の加害者家族の人権宣言というものが2016年になされたということに感銘を受けましたね。 しかしそういう認識も一部士業の方々のみで今現在もまだまだ加害者家族の人権というところへ社会一般(というか「世間」一般といったほうが良いのかな)の人々の認識は至っていないだろうと思います。…至る時が来るのだろうか?日本人の性質を考えると相当難儀に思われます。
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ネット記事で読んで、借りてみた。 著者の活動は非常に意義深い。本書にも登場しているが、10年以上前に読み、非常に感銘を受けた『弟を殺した彼と、僕』の著者、原田正治氏も説いている修復的司法(本書ではその文言は出てこないが)に関する活動も、原田氏やその他犯罪被害者や加害者支援に携わっ...
ネット記事で読んで、借りてみた。 著者の活動は非常に意義深い。本書にも登場しているが、10年以上前に読み、非常に感銘を受けた『弟を殺した彼と、僕』の著者、原田正治氏も説いている修復的司法(本書ではその文言は出てこないが)に関する活動も、原田氏やその他犯罪被害者や加害者支援に携わっている人々とともに、支援団体「インターセブン」を立ち上げたとのこと。大きな力となって、日本でももっと修復的司法の手法が受け入れられていくといいなと強く思う。 ただ、先日読んだ『息子が人を殺しました』でも感じたが、この著者の文章力にやや難があって、せっかくの意義のある取り組みであるのに、本来の価値を訴えられるほどにこなれていない。論点があちらこちらに飛んでいるような印象を受け、まとまりに欠けてしまっているのが残念。 著者が関わった事件を踏まえて記述されている数章はともかく、著者が加害者支援に携わるようになった理由について述べられている第5章は、本書内で著すことがどうだったのか、と。支援者としてかかわった案件と、著者の感情的な部分が全面に強く表れている体験談が、同列に描かれているわけだが、さっきまで客観的な支援者だった人の、主観的な部分ばかりが大きく描かれる自身の体験談に、妙な居心地悪さを感じたことも否めない。 著者自身は、子どものころから作文が得意で、コンクールに応募したり周囲から認められたりしていたと自信をもっているようではある。 蛇足 校正漏れを2か所発見してしまった。かなりわかりやすいので、重版されればきっと修正されるだろうな。 あと、刑事裁判について。 よくニュースなどで、当事者家族や関係者が「真実を明らかにしたい」と話しているのが取り上げられるが、刑事裁判は罪に対する量刑を決めるために行われるのであって、真相究明が目的ではないのよね。本書内でもその指摘がある。だから、検察は懲役何年とか求刑し、かたや弁護側が無罪主張、っていうことが起こるわけで、例えば無罪が主張されても、その無罪証明について、その可能性を探るための検証なんていうのは行われない。本書でも触れられているが、冤罪で、その無罪についての検証が行われず、謂れのない罪で服役している人はきっといる気がする。
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常に両面が存在する。被害者がいれば加害者が必ずいる。加害者の家族に焦点を絞った一冊で重い話題なんだけど、もっと突っ込める内容を読んでみたい。
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筆者は教養もあり、文章もこなれている。しかし、話に論理的な一貫性を欠く部分があり、そのことに無自覚なことに恐怖を覚える。ある意味、「無敵のヒト」だという感想を持つ。そのこととは、別にして、本書に取り上げられたエピソード一つ一つからは考えさせられる素材を得た。
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