ジャクソンひとり の商品レビュー
ブラックミックスであるジャクソンが、卑猥な性動画に出演していると疑いをかけられる。そんな覚えのないジャクソンは、同じようなブラックミックスの4人で動画配信者を突き止め、復讐する。その様が痛快なのだが、4人が入れ代わるところが、誰が誰なのか、よくわからなくなってしまった。 しか...
ブラックミックスであるジャクソンが、卑猥な性動画に出演していると疑いをかけられる。そんな覚えのないジャクソンは、同じようなブラックミックスの4人で動画配信者を突き止め、復讐する。その様が痛快なのだが、4人が入れ代わるところが、誰が誰なのか、よくわからなくなってしまった。 しかし、多様性の時代と言いつつ、ブラックミックスの人たちの個性を捉えきれず、一色単にする見方を皮肉った感じがこの作品から伝わり、心に刺さった。
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私にはちょっと難しかった。人種差別について言わんとしてることは伝わったけど、途中からだんだん誰目線かわからなくなってきて混乱。 物語的にそれも含めあえて交わったような曖昧な表現だったのかな? かなりズバッと切り込む会話やシーンも多くてあまり気持ちいいものではないけど、考えさせられ...
私にはちょっと難しかった。人種差別について言わんとしてることは伝わったけど、途中からだんだん誰目線かわからなくなってきて混乱。 物語的にそれも含めあえて交わったような曖昧な表現だったのかな? かなりズバッと切り込む会話やシーンも多くてあまり気持ちいいものではないけど、考えさせられた。
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4人のLGBTQの黒人ハーフが主人公 TシャツのQRコードにより周りから差別を受けることになる。 4人の入れ替わり作戦により本当の犯人を見つける復讐劇がはじまる
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人種差別とリベンジポルノを重ね合わせる鋭さにやられた。私のマジョリティの部分をちゃんと刺してきた。強度のあるセリフはいっぱいあったけど、特に漫画を貶すくだりは、私自身感じていたこととか思っていたことがあまりに率直な物言いで言語化されたので震えた。「白人ワナビー」精神ほんと気持ち悪...
人種差別とリベンジポルノを重ね合わせる鋭さにやられた。私のマジョリティの部分をちゃんと刺してきた。強度のあるセリフはいっぱいあったけど、特に漫画を貶すくだりは、私自身感じていたこととか思っていたことがあまりに率直な物言いで言語化されたので震えた。「白人ワナビー」精神ほんと気持ち悪いけど、多分日本人の無意識レベルのとこに多かれ少なかれ根付いているものだと思う。というか日本人には割と名誉白人気質があると思う。だからイカれた植民地支配happy⭐︎MVが世に出ちゃうんでしょうな。 内容というか語り方に関しては、固有名詞が少なかったり、職場オフィス・ホテルなど無機質な場にいることが多かったりして、「いつ」の「どこ」の話というのが絞れない印象だった。この独特な浮遊感は、ラストのイブキと陰謀めいた集団との邂逅の場面でドンピシャの効果を生んでいる気がする。 視点の鋭さ(当事者性もあると思う)やフランクな語り方が好みだった。他の2冊も読むつもり。
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痛快でおもしろかった。私は自分で言うのもなんだけれど人種問題やセクシャルマイノリティに関しては色々と情報を収集して考えているほうだと思う だから書いてあることにはもっともだな、と納得したけれどそういったことを日頃考えないようにしている人は戦いてしまう気がする 日常的に受ける差別と...
痛快でおもしろかった。私は自分で言うのもなんだけれど人種問題やセクシャルマイノリティに関しては色々と情報を収集して考えているほうだと思う だから書いてあることにはもっともだな、と納得したけれどそういったことを日頃考えないようにしている人は戦いてしまう気がする 日常的に受ける差別と悪意のない不快な決めつけ(マイクロアグレッション)に対する静かな怒りが刃となって、自分の喉元に突きつけられているような気持ちになる人もいるんじゃないか 他者の痛みに対する鈍感さを思いっきり晒し上げられる小説
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※このレビューにはネタバレを含みます
⚫︎受け取ったメッセージ ユーモア×シリアス ⚫︎あらすじ(本概要より転載) 第59回文藝賞受賞 衝撃のデビュー作! 東京に暮らすブラックミックスたちが企む鮮やかな逆襲劇 「実際に生きてるってこと。盗用したポルノごっこじゃなくて」 アフリカのどこかと日本のハーフで、昔モデルやってて、ゲイらしい――。 スポーツブランドのスタッフ専用ジムで整体師をするジャクソンについての噂。 ある日、彼のTシャツから偶然QRコードが読み取られ、そこにはブラックミックスの男が裸で磔にされた姿が映されていた。 誰もが一目で男をジャクソンだと判断し、本人が否定しても信じない。 仕方なく独自の調査を始めたジャクソンは、動画の男は自分だと主張する3人の男に出会い――。 ⚫︎感想 タイトル「ジャクソンひとり」、QRコードを他人に読み取られ、その先にあったブラックミックスの男は、ジャクソンではないのにジャクソンだと思われる、ジャクソンと同じブラックミックスの3人が出現し、4人が入れ替わる「遊び」をする…というような、キャッチーで引きのあるモチーフと、読みやすい言葉でグイグイ引っ張られる。しかし、言葉は平易でも、読み解くのが困難。それは、まるで「ジャクソン4人」の見分けが困難なように、4人の読み分けも困難になっている仕掛けによる。 ブラックミックス×ゲイというマイノリティ中のマイノリティーの4人。だが確かに異なる4人。一方でジャクソン自身、自分以外の「ジャクソン3人」を自分か?と思ったり、溶け合う感覚になったり。 個が見えなくなる集団のなかで、個でみてほしいという欲求。一方で、気づけば無意識に集団に溶け込むような行動を好んでしていたりする。相反する欲求や感情を各々が持っていて、そんなグラデーションの掛け合わせを感じる作品だった。 「見分けがつかない」現象は困惑することもある反面、ちょっとコミカルなところがある。それをディープな世界と「ミックス」してひとつの小説になっている。まさにジャクソンたちの「ミックス」のように。舌を巻いた。 地図の絨毯で自分たちの出自を指し示している場面が印象的だった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
人種差別やLGBTQ+など、人権問題を主題に据えれば評価が底上げされるの?と感じる一冊だった。文章が上手くないし視点の切り替わりが分かりづらいし、小説としての完成度は高くないんじゃないかと思う…。内容が不愉快だったとかではなく、"小説としての"質が高くないのに文学賞の候補になるというのは評価が甘すぎでは…と感じた。
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攻撃的、挑戦的、野心的とでも言おうかという文章が続く 読んでいて気持ちのいい話はなく、登場人物は実在するとすれば、できるだけ避けて通りたい人たちに思える アンダーグラウンドな営みをしている方々のストーリーが無造作さに展開されていくような、気分の悪さを感じました
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第168回 芥川賞候補作 確かに芥川賞候補になる作品だなと思った。文学的に誰も書かなかったテーマだから。ブラックミックスの肌を持ち、ゲイで国籍は日本人のジャクソン。彼が主人公でありながら、何人もの男性が主となりストーリーは進んでいく。少し分かりづらい。だから2度読んだ。そして気...
第168回 芥川賞候補作 確かに芥川賞候補になる作品だなと思った。文学的に誰も書かなかったテーマだから。ブラックミックスの肌を持ち、ゲイで国籍は日本人のジャクソン。彼が主人公でありながら、何人もの男性が主となりストーリーは進んでいく。少し分かりづらい。だから2度読んだ。そして気づいたのは、 登場する男性たちが 誰だかわからなくなる わかりづらさが、この物語の根幹 なのだと気づく。 入れ替わってもわからない、ということ。例えば、私たちが黒人男性数名を見て、紹介されたとしても、誰が誰だがわからないように。 作者はそこを揶揄しているような気がする。 こんな文章がある。 『褐色ってどういう意味?』 『アフリカンも ラテン もタンニングも 意図的に一緒くたにするクソみたいな言葉だよ』 そしてこんな言葉も‥ 『原宿の黒人はほとんどがアフリカ人で、俺たちアメリカ黒人とは違う』というプライド。 日が沈んだ空の下『そろそろ俺たちが見えなくなる時間だからね』 こんな言葉は日本人作家には出てこないし、私も思わず感心してしまう。 冒頭から、だれかがベッドに磔(はりつけ)されている動画がQRコードで読み取れてしまう描写から始まる。本の裏表紙には“逆襲劇”とある。怖そうな印象と思って心して読み始めたが、サラサラと無機質に文体は流れ、暴力的なことも感情を抑えて緩やかに進行していく。カフカを読んだ時のようだ。 こんな世界もあるんだということ(おぼろに知ってはいたが)リアルに突きつけられた気がする。
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第59回文藝賞受賞作・第168回芥川賞候補作。 差別に悪態をつくのではなく,差別という構造を描いた上で読者に悪態をつく,という感じか。分かりやすく難解であり,文学への読解力が試される作品だった。 書きたいものが先行しており,うまく選別されていない文章も散見された。しかしそれが...
第59回文藝賞受賞作・第168回芥川賞候補作。 差別に悪態をつくのではなく,差別という構造を描いた上で読者に悪態をつく,という感じか。分かりやすく難解であり,文学への読解力が試される作品だった。 書きたいものが先行しており,うまく選別されていない文章も散見された。しかしそれが克服された時,この作者は化けると勝手に思っている。
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