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ドイツ誕生 神聖ローマ帝国初代皇帝オットー1世 の商品レビュー

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6件のお客様レビュー

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2024/08/27

日本の歴史であれば、学校の授業で習うほかにも本を読んだりTVで見たりしてそれなりの知識を得ることができるが、外国の歴史になると、努めて知ろうとしないと高校世界史レベルの知識で終わってしまっている。例えば、本書で取り上げられる神聖ローマ帝国であれば、初代皇帝のオットー1世の名前くら...

日本の歴史であれば、学校の授業で習うほかにも本を読んだりTVで見たりしてそれなりの知識を得ることができるが、外国の歴史になると、努めて知ろうとしないと高校世界史レベルの知識で終わってしまっている。例えば、本書で取り上げられる神聖ローマ帝国であれば、初代皇帝のオットー1世の名前くらいは覚えているが、それ以上の詳しいことは??である。  本書は、オットー大帝の生涯とその事績をたどりつつ、当時のヨーロッパ情勢、そしてドイツ誕生の経緯を説明していく。  本書で新たに学んだこと数点。 〇ドイツの祖型となったのは、ライン川以東の領地を継承した東フランク王国であったが、同国は、10世紀初頭、フランケン大公領、ザクセン大公領、シュヴァーベン大公領、バイエルン大公領、ロートリンゲン大公領が割拠する状態になっていた。 〇オットー1世の父であるハインリヒ1世は、ゲルマンの慣習であった分割相続を均一相続に改め、王国非分割原理を導入した。これにより王国の統一は図られるが、相続から外れたオットーの兄弟の反乱を招くこととなった。 〇当時、マジャール人、ハンガリーの侵入が繰り返されていたが、955年のレヒフェルトの戦いに大勝し、東の国境地帯の平和を取り戻した。以後ハンガリーは徐々に遊牧生活から定住農耕生活に移行し、またキリスト教を受け入れるようになった。 〇オットーは3次にわたるイタリア遠征を行った。この遠征により、ドイツ人意識が醸成されていった。 〇オットーは中央集権化政策を進めていったのだが、度重なるイタリア遠征によりそれに相反する状況が生じてしまった。イタリア遠征に従軍する家臣たちはその褒章として領地の支配権ー関税権、裁判権、市場権、鉱業権等ーの強化を求める。これらの領は世襲となり土着勢力となっていく。こうした世俗領主を牽制するために司教領にも特権を授与する。こうして中央集権とはベクトルが逆に働き、ドイツは聖俗諸侯の割拠する乱立状態となっていく。  良く知らない時代についての歴史であるので、大掴みで概要の説明がされるのはありがたいし、文章も平易でとても読みやすい。  本当に戦いに明け暮れた人生だったし、兄弟や子どもたちにも多く先立たれた彼に、心の休まるときはあったのだろうか、そんなことを考えてしまった。  

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2023/12/10

神聖ローマ帝国の設立とそれが「ドイツ」というアイデンティティやナショナリズムにどのようにつながっていったのかをタイトルの通りオットー1世の事績をたどり人物像を推測しながら記述していく。各人物の事績が織りなすヨーロッパ中世のカオスな雰囲気はよくわかったが、その時々の社会状況や歴史的...

神聖ローマ帝国の設立とそれが「ドイツ」というアイデンティティやナショナリズムにどのようにつながっていったのかをタイトルの通りオットー1世の事績をたどり人物像を推測しながら記述していく。各人物の事績が織りなすヨーロッパ中世のカオスな雰囲気はよくわかったが、その時々の社会状況や歴史的経緯からの影響した判断など大きなつながりや流れはつかめなかったかな。いや、掴みにくいからこそカオスと言われるのか。中世はどこも難しいなぁ。

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2023/07/08

スイスの歴史を調べていて「そもそも神聖ローマはなんで選帝侯の選挙で皇帝決めてるんだ?」と気になってその答えがありそうな本、と思って図書館で借りてきた。 オットー1世の祖父から始まる物語で、同じ名前ばかりだし、自分の今の興味より古い時代だし、なかなか読むのが大変で半分くらいで挫折。...

スイスの歴史を調べていて「そもそも神聖ローマはなんで選帝侯の選挙で皇帝決めてるんだ?」と気になってその答えがありそうな本、と思って図書館で借りてきた。 オットー1世の祖父から始まる物語で、同じ名前ばかりだし、自分の今の興味より古い時代だし、なかなか読むのが大変で半分くらいで挫折。 自分用にに噛み砕いて書くと、選帝侯はドイツ貴族(ザクセン?)の慣習だから。皇帝と同じくらい強い貴族いっぱいいたところからなんとか戴冠したから。ということだと思う、多分。 オットー1世を主人公にした物語。いつか興味が湧いたら読了まで行きたい。しばらくなさそう。

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2023/04/09

通史は本当に面白い。今回はオットーという王の生涯を通して東フランクから神聖ローマ帝国の創立までをたどっている。相変わらず魑魅魍魎なドロドロな中世ヨーロッパで、しかも同じ名前のオンパレードで読むのが大変だが、オットーの生き様は興味深い。 今回、公候伯子男の爵位の成り立ちを知ったのは...

通史は本当に面白い。今回はオットーという王の生涯を通して東フランクから神聖ローマ帝国の創立までをたどっている。相変わらず魑魅魍魎なドロドロな中世ヨーロッパで、しかも同じ名前のオンパレードで読むのが大変だが、オットーの生き様は興味深い。 今回、公候伯子男の爵位の成り立ちを知ったのは収穫だった。

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2023/02/18

主にオットー1世に関して伝記的に記述しており、オットー1世のローマ帝国=一つのヨーロッパを志向する国際意識が逆に「ドイツ」という国家意識を醸成することとなった、その過程を書いています。 歴史的事実を淡々と書き連ねていくというより、著者による推測や余談が合間に挟むことで、人を選ぶ...

主にオットー1世に関して伝記的に記述しており、オットー1世のローマ帝国=一つのヨーロッパを志向する国際意識が逆に「ドイツ」という国家意識を醸成することとなった、その過程を書いています。 歴史的事実を淡々と書き連ねていくというより、著者による推測や余談が合間に挟むことで、人を選ぶとは思うが、私は飽きることなく読み進めることができました。 著者が繰り返し述べているように、同名の人物が多数出てくるので、読み始めの時はわけがわからなくなるのではと思ったものの、こうした余談やユーモア溢れる人物描写によって人物を具体的に想像することができ、読み終わる頃には何となく漠然とした人物相関図が頭の中に出来上がり、とても助かりました。 印象に残った内容は次の通り。 ・公爵、伯爵、辺境伯などの違い ・日本の戦国時代のような東フランク内戦 ・ベレンガーリオ2世のしぶとさ ・巡回王権 ・オットーの国際意識が国家意識を醸成させたという逆説 ・やたら行われる摘眼刑 大変面白い本でした。 中世ヨーロッパ史を全然知らなくても楽しめる一冊です。

Posted byブクログ

2022/12/29

オットー大帝の生涯を追う内容だが、かなり著者の推察が入っているので人を選びそう。人名が覚えられないが、それは登場頻度の多い人物は勝手に覚えられる。

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