黒博物館 三日月よ、怪物と踊れ(2) の商品レビュー
面白かった。バイオレンスなシーンも、コメディタッチなやりとりも緩急自在なのは一巻からそうだけど、流石藤田和日郎って感じ。 今のところは、恐ろしい見た目ながらもその人柄でちょっとずつ使用人たちと打ち解けていくエルシィ辺りなんかは、珍しい感じでもないし、男性中心の世界観が世界を動...
面白かった。バイオレンスなシーンも、コメディタッチなやりとりも緩急自在なのは一巻からそうだけど、流石藤田和日郎って感じ。 今のところは、恐ろしい見た目ながらもその人柄でちょっとずつ使用人たちと打ち解けていくエルシィ辺りなんかは、珍しい感じでもないし、男性中心の世界観が世界を動かしていた時代を背景に起こる問題に立ち向かったり、っていうのも、まあ特筆するものではないかも知れない。その一方で、そういう物語にも関わらずちゃんと面白く読める部分とか、思わず圧倒される迫力とかは凄いなと思う。 脇を固めるキャラクターが、一癖も二癖もあるのに憎めない他、主人公であるメアリーが「死に活かされて来た」という自意識を持っていたり、毅然とした強さの奥に弱さを抱えていたりするのは魅力的。 女性の権利を声高に唱えるメアリーに対して、(結局は否定されるものの)オルタナティヴな世界観を提示している点なんかも、個人的には好みだった。彼女個人ではどうしようもない、社会的な不条理が表出した問題にぶち当たったときは、大体暴力で解決されてしまうのは、ちょっとスカッとしないけれど、メアリーが暴力を是としない態度である以上、多分何か違う展開も用意されているんだと期待している。 今回は引きも凄く気になるし、続きが楽しみ。
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『黒博物館』3rdシリーズ第2巻。1stシリーズのウォルターがちょっと登場するシーンもあり、少し嬉しい。 事件の全てが過ぎ去った後のはずの、現在のメアリーが「まだ私は『怪物』に捉えられているのですよ…」と独白する辺りが、今後のポイントになってくるのだろうか。 物語の調子も、社会や登場人物の見せ方も、まだまだ序章といったところ。今後の展開を楽しみにしたい。
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