作家たちの手紙 Writers' Letters の商品レビュー

マイケル・バード(著者),オーランド・バード(著者),福間恵(訳者),沼野充義(監修)

2024/09/06

ここ500年ほどの主として欧米の文学史において、作家や詩人が書き送った手紙を画像とともに紹介し、手紙の内容にとどまらずそれが書かれた背景や、送った側と送られた側の事情などまで詳細に解説がなされている読みごたえの強い一冊です
手紙というものは送られた側が大切に保管しない限りは現代に伝わらないわけで、書によっては何百年も前の作家の直筆の手紙を見ることが出来るので圧巻です
内容は深刻なものもあれば、家族への何気ない私信や、熱い恋文と恋詩が織り込まれたものもあれば、出版社への督促、原稿の返却の要請、作品の改訂の相談などもあります
名を知り作品を読んでいた作家さんらが確かにそこで実在しており、ペンやタイプライターに触れて字を書いていたってことを生々しく感じられる
恐ろしいほどに美しい筆記体に惚れ惚れしたり、殴り書きのように鉛筆で書かれていた葉書の内容に戦慄したりと、読み味も実に濃厚です
ただ、収録されている作家、詩人の大半は名前は存じ上げているが未読だったりお名前すら初めて知る方も多く、読み手として読書量も知識も足りないなあと痛感させられました

ですので、自分が分かる範囲で感動したり刺さったりした手紙を上げると、
エミリー・ブロンテの姉へ向けた創作の相談の手紙の美しい筆記
ヘルマン・ヘッセの厳格な父への抗議の手紙の弱々しげな書きぶり
ワーズワーズが自身の読者からの批判を含んだファンレターに対する、痛切に言葉を尽くしすぎた返信
カート・ヴォガネットが戦地で生き延びたことを家族に伝える上での恐ろしい体験談などが、しみじみと、この手紙が残っていて良かったと思うのです

2023/02/14

書かれた時代背景や関係者との親近性など併記されていて読み応え有り！
お気に入りの作家の筆跡や言葉づかいなども。
ツヴァイクの遺書。ヴォネガットの手紙の一字一句。