私の半分はどこから来たのか の商品レビュー
文化の違いなのか、オーストラリアビクトリア州の政策がすん、と腑に落ちた。個人的にはこのような政策が広がってほしいとは思うが、日本ではとても難しいのだろう。子どもを持ちたいとの願いは叶えうるが、生まれた子どもが出自を知りたいという願いも同じように叶えられる国になってほしい。
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大野和基 国際ジャーナリスト。おおの・かずもと/1955年、兵庫県生まれ。東京外国語大学英米学科卒業。コーネル大学で化学、ニューヨーク医科大学で基礎医学を学ぶ。現在、医療問題から経済まで幅広い分野に関して世界中で取材を行う。『代理出産―生殖ビジネスと命の尊厳』(集英社新書)、『マ...
大野和基 国際ジャーナリスト。おおの・かずもと/1955年、兵庫県生まれ。東京外国語大学英米学科卒業。コーネル大学で化学、ニューヨーク医科大学で基礎医学を学ぶ。現在、医療問題から経済まで幅広い分野に関して世界中で取材を行う。『代理出産―生殖ビジネスと命の尊厳』(集英社新書)、『マイケル・ジャクソン死の真相』(双葉社)などの著書、『そして日本経済が世界の希望になる』(ポール・クルーグマン/PHP新書)などの訳書がある。
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20年前は、結婚したら子供を産むのが普通という圧力がかなり強く平気で口に出す時代だった。そんな中での不妊、さらに男性不妊は言い出しにくく、日本では告知という発想にはいたらず、秘匿する方向に行きがちであり、法整備も遅れにもつながったのではないか。 告知は小さい頃の方がより柔軟に受...
20年前は、結婚したら子供を産むのが普通という圧力がかなり強く平気で口に出す時代だった。そんな中での不妊、さらに男性不妊は言い出しにくく、日本では告知という発想にはいたらず、秘匿する方向に行きがちであり、法整備も遅れにもつながったのではないか。 告知は小さい頃の方がより柔軟に受け入れられるということを初めて知った。 今は多様性が尊重されるようになり、昔よりもスティグマがなくなってきた。だからこそ、生殖医療を秘匿の世界とせず、告知の大切さ法律で何をどのように保護すれば良いのかしっかり議論する必要がある。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
全ての大人は全ての子どもの親になり、全ての子どもは全ての大人の子になる、ってどこかでみた言葉を思い出す。本当に、そんな世の中になりつつあって、過渡期をわたしたちは生きていると思う。 「子どもがほしい」と切実に願った先のAID (非配偶者間人工授精)の利用なら、生まれた子どもへの説明はどんなあり方が理想的なのか、とくに本書ではその考えたかを得る。例えば、オーストラリア、ヴィクトリア州の病院で不妊治療を行ってきたアンドリュー・スピアーズ医師によると「幼少期の子どもがどれほど精神的な受容力を持っているか」が語られ、10代になってからの子どもへの告知では遅すぎることや、アイデンティティが形成される前に告知することの重要性など、記されている。 自分がAIDで生まれたことを知ってかき乱された人「アイデンティティの半分が空白状態」になった人たちの言葉もたくさんあり、本書を読むことで苦悩を知ることにもなる。 自分や自分たちのあり方に自信をもって生きていれば、その子どもも、どんな生まれかたであっても自信を持って生きることができるのだろうか。 子どもってすごいな‥とそんなため息と感嘆が漏れて、きっと新しい家族やコミュニティの形が生まれるのだろうという希望をもつ。わたしもまだ、完全にそう思うことは難しいのだけど、自分が存在することが奇跡で、喜ばしいことだと誰もが思う世界になるといいなぁ。
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自分を育てた両親の卵子と精子から自分が生まれた。 それが、当たり前だと思っている。 なのに、ある日突然、「あなたはAIDで生まれた」と、言われたら。。。 親が信じられなくなるのも無理はなく、本当の父親を知りたいと思うのも当然だと思う。 それが、今の日本では難しい。 1人の子供、い...
自分を育てた両親の卵子と精子から自分が生まれた。 それが、当たり前だと思っている。 なのに、ある日突然、「あなたはAIDで生まれた」と、言われたら。。。 親が信じられなくなるのも無理はなく、本当の父親を知りたいと思うのも当然だと思う。 それが、今の日本では難しい。 1人の子供、いや、1人の人間を守る上で法制化は必要だと感じた。 その法制化が。提供者側にデメリットが出てくるのも確かではあるが、人間を守るという意味で、生まれた側の権利は必要だと思う。 世界的に提供をしているクリオスという企業があることは初めて知った。 自分は、もう子供を持つことはない。 でも、この問題があるんだよってことは、認識しておきたいと思った。
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AID(非配偶者間人工授精)で生まれた子に、出生の告知をすべきか(肯定)、いつすべきか(小さい頃から)、出自を知る権利についてどう考えるかなどについて考えるためのルポタージュ。
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「出自を知る権利」は、AIDのような第三者の精子・卵子の提供によって生まれた子供が、生物学上の親の情報を知る権利のことで、日本が1994年に批准した「子どもの権利条約」にも謳われている。(154頁)日本では1948年からAIDが実施されてきた。大人になってAIDで生まれたことを知...
「出自を知る権利」は、AIDのような第三者の精子・卵子の提供によって生まれた子供が、生物学上の親の情報を知る権利のことで、日本が1994年に批准した「子どもの権利条約」にも謳われている。(154頁)日本では1948年からAIDが実施されてきた。大人になってAIDで生まれたことを知ると自分の存在が不確実に感じられ、両親を信じられず、遺伝的な病に怯えたり、見ず知らずの生物学上の兄弟姉妹と婚姻関係になる確率を考えるなど、私の想像を超えた悩みが生じるケースを知りました。
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