家康はなぜ乱世の覇者となれたのか の商品レビュー
何度も小説やドラマの主人公となってきた徳川家康の理想と軌跡を、かなり冷静に分析した良書だと思う。歴史小説で読む、戦国時代は、面白いものだが、それとは違う。厭離穢土欣求浄土を理想とし、信長秀吉の重商主義、中央集権を学びながら、農本主義、地方分権を基本の社会を作ったのが、家康が覇者と...
何度も小説やドラマの主人公となってきた徳川家康の理想と軌跡を、かなり冷静に分析した良書だと思う。歴史小説で読む、戦国時代は、面白いものだが、それとは違う。厭離穢土欣求浄土を理想とし、信長秀吉の重商主義、中央集権を学びながら、農本主義、地方分権を基本の社会を作ったのが、家康が覇者となり、長い治世の基礎だと作者は言う。 なるほどだ。研究が進み、新たな証拠も見つかり、歴史の謎も少しずつ解明されていく。本能寺の変、朝鮮出兵なども、ヨーロッパ諸国の覇権争い、宗教戦争、そこからの利害の絡まりが背景にあり、歴史の流れを変えていく。知れば知るほど面白いものだ。
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「厭離穢土 欣求浄土」を掲げた家康の考えをベースに話は展開される。戦のない平和な世を築くための戦を家康はしてきたと。 信長と秀吉は重商主義・中央集権体制だったという指摘はおもしろい。天皇を中心とした伝統的な国のありようからすると革命的な存在であり、アンシャンレジームからすると目障りである。反面、家康は農本主義・地方分権体制という。江戸から300藩を牽制しつつ、各藩の自主性も尊重した。室町幕府までの体制に復古させて、260年のパクス・トクガワーナを生み出した。 なぜ彼がそんな考えに至ったのか。 東照宮御遺訓にある「人の一生は重荷を負いて遠き道を行くが如し 急ぐべからず」に尽きるようです。 信長は直線的、秀吉は多角的、家康は螺旋的というまとめは印象的だった。人生はいろいろ。
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