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天狗と山姥 新装復刻版 の商品レビュー

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2024/08/20

「境界」が面白かったので、「天狗と山姥」も読んでみた。 栃木県民としては古峯ヶ原の天狗にまつわる話も含まれる五来重「天狗と庶民信仰」が興味深い。庶民信仰を語らせたらピカイチの五来先生だけあって良いね。日光の修験道と金剛童子と天狗の関係。 他には、岩田重則「天狗と戦争 戦時下の精神...

「境界」が面白かったので、「天狗と山姥」も読んでみた。 栃木県民としては古峯ヶ原の天狗にまつわる話も含まれる五来重「天狗と庶民信仰」が興味深い。庶民信仰を語らせたらピカイチの五来先生だけあって良いね。日光の修験道と金剛童子と天狗の関係。 他には、岩田重則「天狗と戦争 戦時下の精神誌」天狗の素早さにあやかって弾丸除け祈願。武運長久祈願もあるかと思えば、徴兵除け祈願まである。 山姥に関しては、川村邦光「金太郎の母 山姥をめぐって」が気になった。

Posted byブクログ

2023/07/02
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※このレビューにはネタバレを含みます

天狗 天狗は山の怪異、山の神、妖怪、修験道の四つに分けることができる。 仏教においては驕慢な心持ちの者とされた→「天狗になる」(鼻が高いはどうなのか?) 天狗は最初から山伏姿だったわけではない。 貴族仏教への反骨精神的な存在に位置付けられ、のち、山伏と同化した。その時は子供を山に連れ去るとかそういう逸話と一緒。鬼が情緒的であるのに対し、天狗は知識や教養高く静かに耐えるイメージ。 邪視 説話の中に登場する「天狗」は真言宗の僧侶(天台宗の僧侶が調伏する)として表現された話から、さまざまな説話、民間伝承を紹介し、あるものを神聖化する時の対の存在として、天狗として描かれていると。 天狗は反仏法的な存在がその始めからあったのではなく、仏法に屈服させられる存在として、今昔物語集の中で意図的に盛って書かれている。 山姥 食わず女房の、夫を桶に入れて山へ行くのは葬送習俗を表している。山姥は鬼がその原型とされるが鬼は死霊を表わす。当時死体を埋めたのは山の麓や中腹で、鬼は山からくると信じられていた。食わず女房の昔話は死霊への恐怖とその克服法を伝える話となっている。また、この話は端午の節句に菖蒲や蓬をさす行事の元になっているが、また、女が忌み籠り仕事から解放される日となっている。5月のこの時期である意味は、五月女として、田を植える清浄な神女の資格を得るためと推定される。 精神科医が患者の治療で夢に出てくるものの表象を分析しながら考察。乳児、大人への発達過程と、それは日本では鬼(父、他者)、山姥(福をもたらす面と恐怖の対象)で表すことができるという話から患者の夢の解説を母への恐怖、母を憎む気持ちへの恐怖へと導かれるところは衝撃だった。

Posted byブクログ