五行歌集 ヒマラヤ桜 の商品レビュー

神部和子(著者)

2022/10/27

　歌集はひっそりとした雪野から始まる。秋田の人は、雪の歌を書くが、その雪はみんなちがう。私は、神部さんという方の息遣い、人としてのふんいきを、雪の野原に感じた。
　書かれた雪野に、神部さん自身が溶け込んでいるようにも思える。
　雪の野原は、いつしらず神部さんの体となって、息している。
　ああ、歌というものは、そういうものだな、と感動した。(草壁焔太跋文より)

秋田の雪深い街に生まれ、自然を敬い、謙虚で真摯な人の魂。
ひそやかで、控えめながらも、芯の強さや温もりを求める素直な心。
読み終わるとなんだか泣きたくなるような、きれいな雪景色をみたような思いがする一冊。