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プリテンド・ファーザー の商品レビュー

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39件のお客様レビュー

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2024/06/24

自分の中に知らないうちにすりこまれていた、育児の性役割や親になることに対する偏見や先入観に気づかされる内容だった。子どもを産むことは確かに女性にしかできないことだけれど、子どもを育てるのは父親でも母親でも、血がつながらない他人でもできること。そこに大事なのはただの血のつながりでは...

自分の中に知らないうちにすりこまれていた、育児の性役割や親になることに対する偏見や先入観に気づかされる内容だった。子どもを産むことは確かに女性にしかできないことだけれど、子どもを育てるのは父親でも母親でも、血がつながらない他人でもできること。そこに大事なのはただの血のつながりではなくて、家族としてきちんと向き合い愛する気持ち。 育児を妻にまかせきりにしてきた恭平が、妻の急死だけではわからなかった子どもと向き合う日常を、章吾との生活の中で少しずつ考え方が変化し親としての役割を理解していく過程が興味深い。恭平が名前だけの父親から、本当の父親になっていく。そしてその視点は同じ親である会社の後輩や同僚の生き方、女性が社会で働くことの困難さというところへ広がっていく。恭平の視点を通して、男性中心の社会の中で、女性が出産・育児によりどれだけ社会参加を阻まれているかを、女性である私自身でもはっとするような気付きを与えてくれた。 印象に残った文章『子どもを持てばさ、社会的にはそれで親になれちゃうんだよ。(中略)本当は、子どものために何かをすることで初めて親になるわけで、逆を言えば、その行為によってしか親にはなれない気がするんだよ。』『僕の存在が志乃ちゃんの記憶に残らなくても、行為の中に愛があるのなら、それでいい。大事に思う存在が、その愛を栄養にして育つのであれば、僕がここにいる意味はあるのだ。』とても大事なことがこの文章には含まれている。

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2024/05/28

〈「ケア」と「キャリア」のはざまで引き裂かれるすべての人に贈る、新しい時代のための拡張家族の物語!〉 少し単調だったけれど、今必要とされているテーマだと思う 昭和の妻はグーの音も出ない シングルファーザーの葛藤 いろんなことを考えさせてくれた 子どもを作るのは親のエゴでも、...

〈「ケア」と「キャリア」のはざまで引き裂かれるすべての人に贈る、新しい時代のための拡張家族の物語!〉 少し単調だったけれど、今必要とされているテーマだと思う 昭和の妻はグーの音も出ない シングルファーザーの葛藤 いろんなことを考えさせてくれた 子どもを作るのは親のエゴでも、生まれてきた子どもが歓迎されない社会にはしたくない ≪ 血のつながり それが家族の それだけが?≫

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2024/04/25

図書館本。 これはフィクションでありながら現代にあり得る話だと感じた。 世間的には父親は働き、母親が育児みたいな図式はまだまだ根付いているが、実際の世の中はそうではなく様々な形の家族がある。恭平達の家族の形も普通にある形だと思う。まあ、こんな感想を感じることこそが偏見なんだとも思...

図書館本。 これはフィクションでありながら現代にあり得る話だと感じた。 世間的には父親は働き、母親が育児みたいな図式はまだまだ根付いているが、実際の世の中はそうではなく様々な形の家族がある。恭平達の家族の形も普通にある形だと思う。まあ、こんな感想を感じることこそが偏見なんだとも思う。 これからは同性婚だったりして今までにない形の家族が増えていくのだろう、時代によって常識が変わるように。 話的にはみんなが最初の形に落ち着いたのが良かった。それもそれぞれの問題?を解決してからなので良い結末だったと思う。

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2024/01/27

恭平は「考え方が変わっただけで何も行動できていない自分はダメだ」と言っていたけど、 考え方を変えるのって、大きな第一歩だと思う。人の考え方って簡単に変わらないから。 人の意見を受け入れて、自分に置き換えてみるって大事

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2023/09/18

シングルファーザーとして4歳の娘を育てる36歳の男性と、同じような境遇で1歳半の息子を育てる高校の同級生の男性が再会し、4人で暮らす。 女だから、男だからという固定概念に、誰しも少なからずとらわれていることに気付かされる。母だから、妻だから、責任のある仕事をしているから、、 知...

シングルファーザーとして4歳の娘を育てる36歳の男性と、同じような境遇で1歳半の息子を育てる高校の同級生の男性が再会し、4人で暮らす。 女だから、男だからという固定概念に、誰しも少なからずとらわれていることに気付かされる。母だから、妻だから、責任のある仕事をしているから、、 知らず知らずのうちに自分もある程度こういったものに影響を受けている。恭平の成長ぶりが良い。

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2023/09/10

題をなぜカタカナにするだろうと思うけど、表紙はしゃれている。 中身はさすが作家というのは登場人物の心のひだを細かく描写するのだなぁと今更関心する。特に章吾はほんとに思いやりがあるし保育士経験者としては当たり前なのかもしれないがよく気が付く人で、こんな人には会ったことがない。疑問な...

題をなぜカタカナにするだろうと思うけど、表紙はしゃれている。 中身はさすが作家というのは登場人物の心のひだを細かく描写するのだなぁと今更関心する。特に章吾はほんとに思いやりがあるし保育士経験者としては当たり前なのかもしれないがよく気が付く人で、こんな人には会ったことがない。疑問なのは章吾とすみれさんの関係。すみれさんが私以上に鈍感なのか??章吾はちょっと考えすぎみたいな気もするが、こういう人もいるんだろう。自己肯定感が低い人はこのごろ多いらしいから。 恭平のほうがわかりやすい性格で、心の変化もわかりやすく描かれている。恭平が最後に悟ったように、女性が生きやすく働きやすい社会を大人が作っておかなければ自分の娘があとになって苦労するということを理解する父親が増えると社会は本当に変わるかも。頼んでもないのに生まれてきた子供たちが歓迎されていないような社会にはしたくないという気づきは説得力がある。

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2023/09/10

主人公たちがお互い違う価値観を少しずつ受け入れ、変わっていくのが良かった。 けど当事者でない人たちにはなかなか伝わらないままで終わってしまい、現実にも自分含め後者になってしまう人が大勢いるんだろうな…と感じました。

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2023/09/10

「プリテンド」ファーザー。父親じゃなくて、父のフリ。父親になるとはどういうことなのか、自問しながら子供を育てる男性2人。保育士資格を持つシッターの男性が育児のパートナー‥はなかなかのアドバンテージのような。彼のサポートあってこそのように見えてしまう。 プリテンドではないファーザー...

「プリテンド」ファーザー。父親じゃなくて、父のフリ。父親になるとはどういうことなのか、自問しながら子供を育てる男性2人。保育士資格を持つシッターの男性が育児のパートナー‥はなかなかのアドバンテージのような。彼のサポートあってこそのように見えてしまう。 プリテンドではないファーザーとなるべく試行錯誤するパパ2人は、将来への光なのかもしれない。 物語が進むにつれ、啓蒙的な表現が増えてくることに、少し違和感を感じてしまった。

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2023/09/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

【318冊目】子育ては自分以外の誰かがやるものという"旧来型男性"を恭平が、子供のケアを得意とする"新型男性"を章吾が代表して、二人が女性の直接的支えなしに同居して子育てする様子を描く小説。筆者は「野ブタ。をプロデュース」の方。どちらかというと"新型男性"の私としては、感想がたくさんありましたよ笑  まず、作品全体の感想で言えば「普通」かな、と。恭平の子育てに対するスタンスに対し、読者は章吾との対比で違和感を持ちながら読み進めていくのでしょう。"旧来型"読者も、恭平が今の時代の価値観から少しズレた存在であることは感じ取るはず。そして、読者の誰もが期待するように、少しずつ恭平の価値観は修正されていく。  途中、章吾の子供が実は…というところに驚きはあるものの、その他、物語はあまり大きな盛り上がりを見せずに最後までヌルッと進んで行ってしまう印象。とはいえ、筆者の伝えたいメッセージは私にとっては明確で、父親は恐れずに育児に進出すべきだし、まだまだ"旧型"の会社や社会に囲まれて息苦しいかもしれないけれど、あなたの一歩が将来のパパママや子供たちにとってのより良い未来につながるよ、ということだと思う。  そして、このメッセージに、私は何の異論もないです。なぜなら、私自身がパパ当事者だから。  特に、恭平の会社の後輩である津崎の申し出は、私自身をモデルにしてるのかと思うくらい考えが一致して驚愕。育休取得のロールモデルとなる男性先輩社員がいないけれど、妻の体調やらなんやら色々考えた上で人事を説得することを決断し、しかも、1ヶ月どころじゃない長期の育休取得を決意。素晴らしいじゃないか!  人事部の恭平は自らがシンパパでありながらも、「組織に迷惑かけるのだから男が育休なんか取ってどうする」という考え。でも、途中で気付くんだよね。自分がやらなかったケアは、結局誰かに押し付けてるだけだってことを。  その気付きは、恭平が亡き妻の言動を反芻する描写からもうかがいしれる。でも、最初は恭平も意味が分かってなかったんだろう。後輩の津崎は、これから出産という一大事を迎えるになる妻との対話を通じて、妻の不安に向き合うことの大切さを理解したんですね。  実は、津崎と恭平には共通する部分があるんですね。それは子供のケアのために花形部署である営業から離れる決断をしたこと。津崎は自分の選択に基づいて、恭平は妻を亡くすという環境に押されて、という違いはあるけれど。これは"旧来型"の男性の価値観からするとあり得ないことで、ある意味で屈辱。だから、全然理解されないと思います!本作の様々な描写中、男性間で最も議論が出そうなのはここでしょう。  ちなみに、私も(妻は生きていますが笑)同じ選択をしました。仕事は誰かが肩代わりできるけど、夫や父は誰も肩代わりできない。仕事のことを愛しているけれど、それと同じかそれ以上に妻子を愛しているので。というか、そうした生き方を受け入れられないような職場なら、いずれにせよ一生お付き合いできる職場ではないと思います。  というように、本作が描くテーマは普通に描くだけでも十分に読者の価値観を揺さぶると思うのです。それなのに、章吾側の事情を複雑に設定する必要があったのか疑問に思います。ファーザーを「プリテンド」しているのは恭平だけでなく、実は章吾もだった!ということなのでしょうが、章吾側の仕掛けがあまり胸に響いてこないのですよね…。それなら、恭平が娘や会社に向き合う描写をもっともっと深掘りしたり工夫してほしかった、というのが私の感想です。  なお、本作をBLと解釈しておられる方もいるようですね。確かに二次創作ではそういう設定も可能かもしれませんが、本作は断じてBLではありません。というか、シングルファーザー同士が協力して子育てするという事情をBLと見るような空気は、作中で批判の眼差しを向けられており、本当に本作をきちんと読んだのか疑問に思いました。  とにかく物語としての本作には決して満足していないものの、現代を生きる男性、父親として、語れるところがたくさんある一冊でした!

Posted byブクログ

2023/08/26

この話、好きだ。 単調かもしれないし、多様性と騒ぐ世の中的に適度な距離感な本かもしれないが、誰かが始める、書く、という表現で表された良い本だと思った。 2人の男性、高校の同級生が、それぞれの子ども?を連れて同居する。章吾はシッター、恭平は妻を亡くしたシングルファーザー その関係...

この話、好きだ。 単調かもしれないし、多様性と騒ぐ世の中的に適度な距離感な本かもしれないが、誰かが始める、書く、という表現で表された良い本だと思った。 2人の男性、高校の同級生が、それぞれの子ども?を連れて同居する。章吾はシッター、恭平は妻を亡くしたシングルファーザー その関係性から、男として育てられ、ろくに家庭をかえりみなかった恭平の成長記録でもある。 章吾も実は恋心を抱いた妻の連れ子を助ける目的の家庭を築いた、実の親ではない。 正に多様性。 男性作家だから、さらにいいのかも。口調も優しく、それぞれの葛藤がとても良かった。 子育てにはその場にいない人にいちいち言おうとは思わない些細な喜びや驚きがある。 よのなかにはそういう無意識な偏見を持っている男の人がたくさんいるんですよ。そしてその偏見の集まりが男社会の大枠を作ってるんです。男は子どもを育てない、育てるなら夫婦関係なはある男社会と女、しかも女がそのほとんどを担うのが子どもにとって望ましいって、どっかでそう決めつけてないですか? 子どもを作るのは親のエゴでも、生まれてきた子どもが歓迎されない社会にはしたくない。

Posted byブクログ