アイスランド 海の女の人類学 の商品レビュー
「海の女」という言葉に惹かれて手に取った。 体調不良諸々で読み終わるのにかなり時間がかかってしまったけれど、まるでミステリーを紐解くように、アイスランドの海で漁師として活躍する女性たちの姿が描かれており、とても面白かった。 著者は偶然アイスランドを訪れることになり、そこでスリー...
「海の女」という言葉に惹かれて手に取った。 体調不良諸々で読み終わるのにかなり時間がかかってしまったけれど、まるでミステリーを紐解くように、アイスランドの海で漁師として活躍する女性たちの姿が描かれており、とても面白かった。 著者は偶然アイスランドを訪れることになり、そこでスリーズルという1700年代に生きた有名な女漁船船長の話を聞いた。今でも海の女たちはたくさんいるのではないか。そう思った著者は海で働く女たちがいないか聞いて回るが、現在ほとんど女性漁師は存在はないという。 はて、これはどういったことか。 このような疑問から、著者は海の女たちがどのように生き、どうして海の女たちは消えてしまったのか、文献調査やインタビューなどの聞き込み調査で調べていき、本書を書き上げた。 海の女たちの船での苦労、しかしそれを上回る海への愛、海からの呼び声にまた船に乗って漁をするところ、男性船員とも対等に渡り合う豪胆さに驚かされ、憧れ、楽しく読むことができた。 本書を書いた著者、訳者に感謝したい。 有識者による解説や、膨大な文献から調べ上げられた海の女たちの名前と生き方が巻末に書かれていて、読み応えはバツグン。 ぜひ多くの人に読んで欲しい。
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