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写真集 シベリア収容所1992 の商品レビュー

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2023/01/29

かつて日本軍捕虜が収容され、現在は誘拐されたウクライナ人が送られているシベリアの収容所。 ソビエトには刑法209条という法律があった。市民を必要に応じて強制連行できる法律だ。対象となる市民は、無国籍者、浮浪者、職業を持たない既婚婦人。既婚婦人まで対象だったのは、共産主義国家では...

かつて日本軍捕虜が収容され、現在は誘拐されたウクライナ人が送られているシベリアの収容所。 ソビエトには刑法209条という法律があった。市民を必要に応じて強制連行できる法律だ。対象となる市民は、無国籍者、浮浪者、職業を持たない既婚婦人。既婚婦人まで対象だったのは、共産主義国家では専業主婦という存在は許されないから。この刑法209条は労働力不足解消のためしばしば適用されてきた。1991年に廃止。怖い。 ソルジェニーツィンは読もうとして投げ出した覚えしかないけど、ソ連にとって市民は予備の奴隷みたいな存在だったの? 80年代には女性だけで1800人もの市民が刑法209条で捕まり、奴隷労働に従事した。 現在は殺人から窃盗などの罪を犯した受刑者だけが収容されている。約500人。 受刑者の中には、収容所内で子どもを育てている母親もいる。子育てできる環境ではないんじゃないかと思うけど、3人にひとりが殺人を犯した集団の中で育つ悪影響より、親子分離の悪影響の方が大きいと判断されているのか? 女性が収容所で出産すると、3歳までは収容所内の保育園で育てられて、それ以降は母親の親族か孤児院に送られるそう。 母親が子どもと過ごせるのは1日1時間と面会者が来るときだけ。 同じ施設内に母親がいても、これでは愛着障害の子どもを増やすだけだ。 男性の受刑者の写真は、ドストエフスキーの死の家の記録を思い出させるものだった。ドストエフスキーの時代に比べたら、ずっとマシになってるようだけど。ずっとマシとはいっても、過酷であることに変わりはない。

Posted byブクログ