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インドネシア独立への悲願 の商品レビュー

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2024/01/22

誇り高く、正しく生きるとはこう云う事かと深く感銘する。日本の軍人たちの歴史の改ざんする回想録は、唾棄するほど恥ずかしいことだと思う。

Posted byブクログ

2023/08/25

著者の長田周子さんはアブドル・マジット・ウスマン(以下マジット)の夫人。マジットはスカルノ、ハッタと並び称されるインドネシア独立の志士。1955年48歳で急逝したため、独立後の国際政治の表舞台には登場しませんでしたが、様々な政治勢力と軍事機密の中で、独立のために奔走しました。本書...

著者の長田周子さんはアブドル・マジット・ウスマン(以下マジット)の夫人。マジットはスカルノ、ハッタと並び称されるインドネシア独立の志士。1955年48歳で急逝したため、独立後の国際政治の表舞台には登場しませんでしたが、様々な政治勢力と軍事機密の中で、独立のために奔走しました。本書はマジットの短い生涯と独立までの出来事、オランダ植民地時代のインドネシアでミナンカボウ人に嫁いだ体験を、妻の周子さんが娘のサルミヤさんの助けを借りて綴った回想録です。 本書は著者とマジットの波瀾万丈の人生を描きますが、読みどころは -日本では殆ど知られていない女系社会ミナンカボウの慣習と生活 -オランダ植民地時代での独立運動 -真珠湾攻撃直後のオランダ捕虜収容所と解放 -日本軍支配時代の日本軍とのやり取りと軋轢 -本土決戦を想定してスマトラ・ブキティンギへの遷都計画とスマトラ占領計画 -「義勇軍」誕生の経緯とインドネシア独立に対する日本の欺瞞 でしょうか。 娘のサルミヤさんは本書の出版意図について、「日本語の自著で両親の正しい人間像と母の大東亜戦争に関わった実体験の歴史を書く責務を感じた」と「あとがき」に書いています。特に、本書は2021年に出版され、主にマジットの生涯を扱った「南方の志士と日本人」(林英一/筑摩書房)を「著者の驚くべき無知を露呈した恥知らずな本」と非難しています。まぁ、敬虔なイスラム教徒だったマジットの死を「天に召されて」とキリスト教の経典で結んでしまうような本を出されたら怒るのもわかります。 また、「両親がかかわった事柄の多くが軍事機密であったとはいえ、『完全に歴史の中に埋もれて、黙殺されていること』を知ったのも驚愕であった」と述べています。戦争の実体験者が減っていく中、マジット夫人(108歳)と娘(83歳)が自分のことばでマジットの生涯を綴ったのは意義があります。 なお、本書は「ラジオ新聞」「読売新聞」「パンジープスタカ誌」「スマトラ新聞」記事を始め、多くの写真を掲載していて、資料として貴重です。多少、読みにくい点はありますが、インドネシアの好きな方は一読していいと思います。 追記) 本書はインドネシア研究家の倉沢愛子さんも非難しています。 ①ブキティンギの日本軍の壕は将来、住居とする目的だった。倉沢さんは「3,000人の労務者を処刑した穴」と事実無根を書いている ②ジャワに柳川中尉が設立したPETAはtentara pembala tanah airの略であり、本来は「郷土防衛軍」と訳すべき。ところが、多くのインドネシア学者は「ジャワ防衛義勇軍」と「勇ましく訳して堂々と記載している」。この誤訳の最初は倉沢愛子さんに責任がある。

Posted byブクログ