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大平正芳とその政治再論 の商品レビュー

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2022/10/20

 「聞く、読む、書く」のできた稀有な哲人政治家と称され、「楕円の思考」「永遠の今」「60点主義」「任怨分謗」などの思想を考案。総理存命中には、「9つの政策研究会」を設置して国家ビジョンを策定。そのなかの「田園都市構想」「環太平洋連帯構想」「家庭基盤の充実」「多元化社会の充実」は、...

 「聞く、読む、書く」のできた稀有な哲人政治家と称され、「楕円の思考」「永遠の今」「60点主義」「任怨分謗」などの思想を考案。総理存命中には、「9つの政策研究会」を設置して国家ビジョンを策定。そのなかの「田園都市構想」「環太平洋連帯構想」「家庭基盤の充実」「多元化社会の充実」は、それぞれ「デジタル田園都市構想」「APEC・TPP」「女性活躍・WLB、こども家庭庁」「多様化社会」と形を変えて今に引き継がれ、GDP偏重から文化重視を打ち出した「文化の時代」や、防衛のみならず経済を含めた「総合安全保障」は、今まさに問われる内容と思います。  第3代宏池会会長であった故・大平総理へは、第9代会長の岸田文雄総理から寄稿。林芳正外務大臣、木原誠二官房副長官をはじめとした宏池会議員の方々からもメッセージが入っています。  御厨貴氏の序章「なぜ令和の今、大平正芳なのか」(これは圧巻です)を筆頭に、宇野重規・翁百合・谷口将紀・柳川範之氏といった日本屈指の政治・経済学者による座談会も収録。「9つの政策研究会」が、自らの政権維持のためではなく、後世への指針を目的としたことから、「ローマ教皇がシスティーナ礼拝堂に天井画として『最後の審判』を描かせるのか、それとも自分の肖像画を描かせるのか。(中略)(岸田政権は)肖像画を描かせててはいけない。後世の人が仰ぎ見るような天井画を残すこと」こそが成果になるという谷口氏のご提言は示唆に富むものと思います。

Posted byブクログ