文明と戦争(上) の商品レビュー
人間はなぜ戦うのか? 人類共通の自然現象? 文化が発明したものか? 上巻は、戦う動機を進化論の観点から探り、部族間から国家間へと進化した戦争を分析。
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ザ・難解!ただ、戦争の動機はいつも性と食糧なんだなぁと。下巻、楽しみ。 p.237 しばしば、なぜ人間は戦うのだろうかと言う問いが発せられる。人間の欲望、一般の対象となるものと、同じものを手に入れるために、人間は戦うのだ、というのがそれの答えである。そして、人間の自然状態を含...
ザ・難解!ただ、戦争の動機はいつも性と食糧なんだなぁと。下巻、楽しみ。 p.237 しばしば、なぜ人間は戦うのだろうかと言う問いが発せられる。人間の欲望、一般の対象となるものと、同じものを手に入れるために、人間は戦うのだ、というのがそれの答えである。そして、人間の自然状態を含むところの自然全体で、欲求の対象となるものは生存に不可欠でありながら不足しがちである。人々が戦闘に命をかけると言う、物質のありふれている現代では、広く疑問を持たれている所の事象は、彼らや彼らの親族の生存や生殖における成功を左右する有象無象の所有物の獲得や喪失の価値が、戦うことのリスクよりも単に大きいからである。 暴力的な紛争は、乏しい資源をめぐる競争によって引き起こされうる。どのような資源が不足しており、また特定の社会において、何が資源圧力の原因となり得るかは多様であったが、主に高栄養価の肉が関係していることが多かった。死者を出すほどの暴力は、女性をめぐる競争によっても引き起こされた。人間の男性は、他の動物に比べると、比較的一夫多妻制の傾向が弱かったにもかかわらず、手に入れる女性の質と数をめぐって争ってきたのだ。女性の略奪、レイプ、不貞行為の告発、婚約破棄などは、生殖をめぐる紛争において広く見られる直接的な原因であった。より、多くの女性や子供を手に入れるための資源獲得競争は、紛争の直接的な原因とも間接的な原因ともなる。現代の進化論の第一人者であるハミルトンが論じているように、「狩猟採集明は、(中略)、集団の中での平均適応度をあげるためには、何とかして、新しい縄張りを手に入れるか、外部から異性のパートナーを手に入れなければならない」。紛争は、時に、差し引きかなりの人数の女性の獲得か、かなりの量の生存資源の獲得、ないし、双方をもたらした。それだけではない。しばしば、見過ごされがちな点なのだが、非常に高い死亡率を伴うような集団間の紛争においては、進化作用が働くために差し引き獲得量は必要ではない。なぜなら、死者を伴う集団間の紛争は、それぞれの集団内で生き残った構成に対する内部の資源への圧力が減ずることで、同時に集団内の淘汰をもたらすからである。
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