家康が最も恐れた男たち の商品レビュー
日本人なら誰でも名前は知っているであろう「徳川家康」が人生を振り返るお話 ただその振り返り方が常にリスペクトと畏怖に溢れているのが新鮮。家康と同じ目線で「信長こわい」「武田には勝てない」「前田はすごい」「秀吉は変わってしまった」と戦国時代の名だたる武将たちの凄さを感じることがで...
日本人なら誰でも名前は知っているであろう「徳川家康」が人生を振り返るお話 ただその振り返り方が常にリスペクトと畏怖に溢れているのが新鮮。家康と同じ目線で「信長こわい」「武田には勝てない」「前田はすごい」「秀吉は変わってしまった」と戦国時代の名だたる武将たちの凄さを感じることができる。 中でも「あと5年待てば…(勝てそうにないライバルがこの世を去り、自分が繰り上がる)」という考え方には驚いた。 昨今の自分の悩みや大変さなんてどうでも良くなるような規模の戦術。人生の組み立て。元気がもらえました。
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家康をかたち作ったのは、家康が最も恐れた男たちだった、ということで、最も恐れた男たちとのエピソードを1人一章ずつ8人分の構成となっている。歴史認識的には非常にオーソドックスなため、戦国時代好きならよく見知ったエピソードが続くきらいはあるものの、ところどころ斬新な解釈もあり、なるほ...
家康をかたち作ったのは、家康が最も恐れた男たちだった、ということで、最も恐れた男たちとのエピソードを1人一章ずつ8人分の構成となっている。歴史認識的には非常にオーソドックスなため、戦国時代好きならよく見知ったエピソードが続くきらいはあるものの、ところどころ斬新な解釈もあり、なるほどと思わせられた。正直前半の武田信玄や織田信長より、後半の石田三成や黒田如水のほうが話として多くの気づきがあったと思う。
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題名に「家康が」と在るが、徳川家康を主要視点人物に据えた時代モノの小説である。 「徳川家康」とでも言えば、「誰でも名前位は知っている」という程度に大きな存在感の史上の人物で、小説等の劇中人物としても限り無く多く登場している。そういうことだが、本作は「在りそうで、余り無かった?」と...
題名に「家康が」と在るが、徳川家康を主要視点人物に据えた時代モノの小説である。 「徳川家康」とでも言えば、「誰でも名前位は知っている」という程度に大きな存在感の史上の人物で、小説等の劇中人物としても限り無く多く登場している。そういうことだが、本作は「在りそうで、余り無かった?」というような感じで綴られているかもしれないと思った。 本作は、最晩年に至った75歳の徳川家康が登場する。既に身体も少し弱っていて、先は長くないと自身でも自覚しているような状態だ。 そういう中で徳川家康は自身の来し方を振り返りながら「遺訓」というようなモノを纏めようとしていた。そこに学者の林羅山が訪ねて来る。 林羅山は、徳川家康の後継者である徳川秀忠の子に学問を指導するような役目を依頼されている。そうした中で「遺訓」に纏わる話しをするということも想定されていた。そこで徳川家康が遺そうとする言葉の「真意?」という話しになる。 結局は「恐れた男達」から得たモノ、学んだことということに尽きるのだと徳川家康は言う。こうして本作の物語が本格的に幕を開ける。 武田信玄、織田信長、真田昌幸、豊臣秀吉、前田利家、石田三成、黒田如水と徳川家康の人生に登場する人物達に纏わる挿話が展開する。これらは「徳川家康が林羅山に聴かせた話し」ということになっている。更に、真田信繁に纏わる挿話を思い起こしている場面も加わる。 こういう本作は「最晩年に来し方を振り返っている徳川家康の回顧録」であると同時に「時代を彩った様々な著名な人達を巡る“家康目線”の人物評」という様相にもなっている。 この「“家康目線”の人物評」ということで、織田信長や豊臣秀吉という人達に関する観方が少し独特で面白い。生い立ちの故に在るような、何処まで行っても満足出来ないような性分が、彼らの行動を規定したのかもしれないというような観方だ。これは興味深い。 これらの他、勝つ戦いを重ねていた驕りの間隙を突かれたというような想い、簡単に真似が出来ない人徳を見せた人物、底の知れない戦術や戦略で動いた人物と、様々な様子でなかなかに面白い。 「恐れた男達」と名前が挙がっている人物達の中、実際に家康の率いた軍勢と直接に戦い、家康が生命の危険を強く感じる羽目に陥れたという人物達も在る。それに関しては「怖い」という意味で「恐れた」ということになるかもしれない。そういう例の他、「厄介で面倒だった存在」という感じ、「簡単に真似が出来ない凄さ」という感じも交るのかもしれない。 結局、三河と遠江とを領国とした時期から関ヶ原合戦の辺り迄、家康の人生には「恐れた男達」が続々と現れたというような感じになるのかもしれない。 本作は、作中の林羅山の位置で徳川家康の回想の談話を聴いているような気分で、ドンドン読み進めることが出来る。なかなかに愉しいので広く御薦めしたい。
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秀逸。遺訓から始まり、人物、内容、時間軸までよく考えられた構成になっている。最後の、タイトルへの言及も良い。 今年最後に良い作品を読めました
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