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文城 夢幻の町 の商品レビュー

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2023/02/01

作者である余華の作品は、「活きる」をチャン・イーモウ監督の映画で見て、小説そのものを読むのは本作が初めて。 読み始めて最初は、なかなか前に進まないが、1/3ほど進んだあたりから、読むスピードが一気に加速して、一気呵成に読み終えることができた。時は清国末から民国初めの混乱を極めた中...

作者である余華の作品は、「活きる」をチャン・イーモウ監督の映画で見て、小説そのものを読むのは本作が初めて。 読み始めて最初は、なかなか前に進まないが、1/3ほど進んだあたりから、読むスピードが一気に加速して、一気呵成に読み終えることができた。時は清国末から民国初めの混乱を極めた中国で、市井の人たちが送った苦難の日々を描いている。著者が日本の読者に向けて書いたあとがきでは、この小説を「伝奇小説」としているが、しかし「伝奇小説」と言われると、私などが真っ先に思い浮かべる「聊斎志異」のような怪異小説ではなく、「紅楼夢」や「水滸伝」、「三国志演義」に通じるところも感じてしまう。(「西遊記」はちょっと違うかも) 泣かせるところは泣かせて、ハラハラ・ドキドキのところもあり、かなり残虐な描写もある。(残虐なシーンは、幼い頃に宴席で中国戦線帰りの近所の爺様から聞かされてトラウマになった日本軍の残虐行為に酷似する) 著者は断続的に書き継ぎ、21年かけて本作を完成したと書いている。 主人公・小美(シャオメイ)は、著者・訳者あとがきでも触れているとおり、部分的には自立した女性ではあるのだろうが、時代的・社会的制約からは完全に自由になりきれなかったのだろう。書ききれなかった、あるいははめ込みきれなかった部分は、年代的には遡って本編のあとに補編として書かれている。ここはやや説明的なところもあり、完成度は若干落ちる感じがする。しかし、全体としては中国長編小説の伝統を引き継いだ読み応えのある小説であった。

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2022/11/16

生まれたばかりの娘を置いて妻はどこへ消えたのか。中国を代表する作家・余華が八年ぶりに贈る男と女の慟哭の物語。東山彰良氏感嘆。

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2022/11/12

「活きる」などの著作がある余華の最新作。21年に渡って書き続けたのが本作。相変わらず上手い。 今回は男女各1名の主人公二人という構成。本編と補編から構成される。 時代は清朝末期。時代に自然災害に匪賊に翻弄される人々の悲哀と愛、生き様を描く。日本の小説の様に細かい心象風景は描かない...

「活きる」などの著作がある余華の最新作。21年に渡って書き続けたのが本作。相変わらず上手い。 今回は男女各1名の主人公二人という構成。本編と補編から構成される。 時代は清朝末期。時代に自然災害に匪賊に翻弄される人々の悲哀と愛、生き様を描く。日本の小説の様に細かい心象風景は描かない。よって影絵を見ている様な印象を残す。空間や時代を超えた人生の歓びと悲哀を描く。時にはブラックユーモアや映画の様な美しい光景を効果的に描かれる。余華と同時代に生きることに感謝。

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