「父の支配」を乗り越えた時 の商品レビュー
戦後まもない頃は、日本のどこも貧しかったのだろうが、北海道の田舎町はひときわ貧しかったと著者は語る。 その時代に女として生まれ、父からはことあるごとに「女はつまらん」「家も継げん」といわれて育った。 存在を貶めるような行為に傷つき、男になれないことに悔しい思いをする。 母の違う障...
戦後まもない頃は、日本のどこも貧しかったのだろうが、北海道の田舎町はひときわ貧しかったと著者は語る。 その時代に女として生まれ、父からはことあるごとに「女はつまらん」「家も継げん」といわれて育った。 存在を貶めるような行為に傷つき、男になれないことに悔しい思いをする。 母の違う障害のある姉や結核を患った父や母の病気、落ち着く間もなく姉の脚の切断など次々と病に翻弄される。 そんな中、大学へ進学し「家庭の事情は知ってる、あなたの名字を名乗ってもいい」のことばで学生結婚をする。 だがそれは新たな葛藤を生み、不安と苦痛と辛抱という途轍もない始まりだった。 家のためなのか、家を継ぐということのためなのか…父に認められたいという思いだったのか。 時代とはいえ、名字は人生を苦痛にさせるほど重いものなのかを痛切に感じた。 今は長男だからとか、うちは女の子ばかりだから家を継ぐことないわ、とかあまり聞かなくなった。 子どもも少ないせいかもしれないし、結婚もせずシングルも多く、墓終いする時代になってきている。 だが、夫婦になればどちらかの姓にしなければならない。離婚して旧姓に戻り、再婚して夫の姓に変わりと女性の場合は、結婚、離婚のたびに姓はどうする?がつきまとう。 姓が変わるということ…望む姓で自由に生きていける社会であればと思う。
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作家はすでに80歳を超えた女性。女性であること、苗字を継ぐことに支配された、慟哭の人生を振り返り、書いたのが本書。私も女だけの姉妹の長女であり、家を継ぐというプレッシャーを受けて生きてきたものとして、理解できるところは多い。が、正直彼女の決断や忍耐には、読みながら歯軋りの出る思い...
作家はすでに80歳を超えた女性。女性であること、苗字を継ぐことに支配された、慟哭の人生を振り返り、書いたのが本書。私も女だけの姉妹の長女であり、家を継ぐというプレッシャーを受けて生きてきたものとして、理解できるところは多い。が、正直彼女の決断や忍耐には、読みながら歯軋りの出る思いもした。この年代で、大学で勉強できたのは、とても恵まれてると思うし、そこまで学問を積み、勉強を重ねながら、父親の呪縛から抜け出せないものなのか??歯がゆいばかり。。終盤、夫婦別姓への想いを理性的に語っているのが、私にとっては救いの文章。これがなかったら、最後まで憤まんが残ったと思う。
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