新編 散文の基本 の商品レビュー
なぜ阿部昭の書くものは面白いのか。それは、矛盾するが(そして皮肉に聞こえてしまうかなとも思うが)阿部昭が自分の書くものをそんなに高く買っていないからではないか? つまり気負いや衒いがなく、ただまっすぐに目に映る真実や手に触れられるタッチをそのまま記しているから、その愚直で一本気な...
なぜ阿部昭の書くものは面白いのか。それは、矛盾するが(そして皮肉に聞こえてしまうかなとも思うが)阿部昭が自分の書くものをそんなに高く買っていないからではないか? つまり気負いや衒いがなく、ただまっすぐに目に映る真実や手に触れられるタッチをそのまま記しているから、その愚直で一本気なところが文に現れていると思うのだ。この文章集でも著者は計算高さを見せず(それでいて蓄積された読書や人生経験は侮りがたしと思う)、素朴な筆致でチェーホフやモームや志賀直哉を称揚する。省みられにくい「渋さ」を守り続ける作家がここに居る
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『短編小説礼讃』の著者による小説作法の書。「私の文章作法」「短篇小説論」に日本語論、自作解説等を増補した新編集版。巻末に荒川洋治との対談を収録。
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『Ⅰ 私の文章作法』では小説に限らず文章を書くということについての思索が展開されます。『Ⅱ 日本語について』にはいわゆる美しい日本語とか言葉の品格というようなものについて書かれた文章が集められ、『Ⅲ 短編小説論』には国内外の作家および自作短編について書かれた文章がまとめられていま...
『Ⅰ 私の文章作法』では小説に限らず文章を書くということについての思索が展開されます。『Ⅱ 日本語について』にはいわゆる美しい日本語とか言葉の品格というようなものについて書かれた文章が集められ、『Ⅲ 短編小説論』には国内外の作家および自作短編について書かれた文章がまとめられています。文章というものは、その書き手が文章を書き始めた幼い頃から根本は変わらないのだ、という信念を、どの文章からも感じます。巻末に収められた荒川洋治さんとの対談と解説は、荒川さんのことを好きな方なら楽しめるのかもしれませんね。
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タイトルに惹かれて購入。短編の名手とされている著者が短編小説の味わいや、文体、言葉について縦横に語る。私も短編小説を書くので、頷くところも多く、とても勉強になりました。現代はどちらかというと長編小説に重きが置かれていて、売られている本も長編小説が多いけれど(セールス的な問題だろう...
タイトルに惹かれて購入。短編の名手とされている著者が短編小説の味わいや、文体、言葉について縦横に語る。私も短編小説を書くので、頷くところも多く、とても勉強になりました。現代はどちらかというと長編小説に重きが置かれていて、売られている本も長編小説が多いけれど(セールス的な問題だろうと思いますが)もっと短編小説に目が向けられても良いのではないかな、と思いました。後半に収められている短編小説論を読んで志賀直哉ももっと色々と読みたくなりました。
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