遠野物語 の商品レビュー
この歳になるまで著名な遠野物語に触れておらず、来月そこを訪うにあたりなんとなく自分の中に点睛を欠くような気がして、いま慌てて読んだところ。 序文がまこと素晴らしいものと思ってよんでいたら、世間的な評価もそうであるらしい。陳勝呉広の例えにはなかなか気取った仰々しさがあるが、当時の...
この歳になるまで著名な遠野物語に触れておらず、来月そこを訪うにあたりなんとなく自分の中に点睛を欠くような気がして、いま慌てて読んだところ。 序文がまこと素晴らしいものと思ってよんでいたら、世間的な評価もそうであるらしい。陳勝呉広の例えにはなかなか気取った仰々しさがあるが、当時の柳田が40手前であることを思えばさもありなん。少なくともその序文さ良いノスタルジーの「文学」である。 本文に関しては、たしかに拾遺の形であり、それ自体が一時史料になろうかという具合だ(民俗学的の祖と言われるくらいなのだから当然なのだろうが)。 「拾遺」の方は、やや書き振りに妙な豊かさがあり、敢えて集めた感があるのは気になったが、それを含めて「眼前にあるもの」だったのだろう。そう思うことにする。 確かにそこにあったもの、あるいは、その日常感覚としてそこにあるものとされたもの、そういうものを記録して残す営みに、感じ入りざるを得ない。 柳田國男という、本人が言うところの「奇人」がそこに在ったことに、後世の歴史好きの一人として感謝をしたいような気持ちになる。
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