しにたい気持ちが消えるまで の商品レビュー
自殺をはかった結果奇跡的に一命を取り留め、障害と共に生きる女子高生が、その前後の生活や気持ちを率直に語った実話。 障害を負ってからの方が生きることへの力強さを纏って生きる主人公の姿が新鮮でした。 彼女ほどの大変な人生を歩んだわけではないけれど、人はどこからでも変われる、今自分が全...
自殺をはかった結果奇跡的に一命を取り留め、障害と共に生きる女子高生が、その前後の生活や気持ちを率直に語った実話。 障害を負ってからの方が生きることへの力強さを纏って生きる主人公の姿が新鮮でした。 彼女ほどの大変な人生を歩んだわけではないけれど、人はどこからでも変われる、今自分が全てだと感じている世界観は実は狭いのかもしれない、もっと自由に考え決めてよいのかもしれないと考えさせられる一冊でした。 ◆印象的だったフレーズ 他人を見て苦しくなったり、自分が嫌になって卑屈になったりと、どうしてもそうなってしまうとき、他者ではなく、自分を中心に据え直す必要がある。ゆっくりだけども日々頑張っている自分、支えてくれる何人かの人たち。自分にとってよりよいものは、いつでも自分の中にあり、そばにいる。 医学モデルと社会モデル
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※このレビューにはネタバレを含みます
タイトルや、著者自身が自殺に失敗して身体的な障害を負った、という内容から読むことをためらっていたが、ヤンデル先生と『夜と霧』について語り合う読書会の配信を見て、彼女の語る「他者」や「物語ること」について関心を持ったので読むことにした。 彼女の置かれた家庭環境、学校の環境は決して穏やかなものではなく、比較的軽いタッチで書かれているものの、読んでいても想像を絶するものだった。学校関係者としては、進学校で課題や進路へのプレッシャーに追い詰められていた様子を読むと、もっと早く誰か手を差し伸べられなかったのか、でも自分がそばにいたとしても向上心を持って頑張っている(かのように見える)生徒に声をかけられただろうか、などと思ってしまった。 親の立場からしても、自分自身が苦しい状況で子どもに勉強を頑張れ、上を目指せ、という気持ちが全く分からないわけでもない。彼女の親のそばにいたとしても、果たしてどう声を掛けることができただろう。 著者自身に自分を重ねるというよりも、周囲の大人に思いを馳せてしまうことが多く、読んでいて不思議な気持ちでもあった。 しかし、最後の最後に、「大人の人へ、親をやっている人へ」という言葉の後に、「自分の人生を楽しんでください。子どもは親の姿を見ています。」とあってガーンと頭を殴られたような気持ちになった。生きることがしんどくなって、周りに助けも求められず身を投げるという手段を選んだ著者。その彼女から発せられたメッセージは、当たり前でシンプルだったけど、同時に自殺を試みた彼女の周りの大人たちが出来ていなかったことであり、自分だって言われなければ見逃してしまいそうな、大切なことだった。 「自殺したいくらい辛い人」が読むというよりも、他人や自分の子どもに、自分の期待をかけてしまいがちな大人たちが読んで彼女のメッセージを受け取るべき本だと感じた。 「体が生きたがっている」という表現も当たり前のようでいてなかなか言語化しないこと。カップ麺やコンビニの食事で済ませていた彼女が、身体が不自由になった後、食事を大切にするようになったというエピソードは、さらっと書かれているけどとても印象的だった。食事に無頓着になることは自分の体の声に耳を傾けられない状況なのかもしれない。大人だったら自分で何とかしなければいけないが、彼女は当時高校生。やはり周りが何とかしてあげなければいけなかったのだと思う。 「未成年のうちは、子どもの世話はしっかり見てください」という彼女の言葉は親としても、教員としても忘れたくない一言となった。
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こんなにリアルな体験談初めて読んだ。思春期ならではの日常と隣り合わせの死にたい感覚がリアル。「生きることって大変だけど、ぼちぼち、ごまかしごまかし、生きていこう」あと説のこの言葉が刺さる。子を持つ親にもおすすめの本だと思う。
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タイトルを見て、「しにたい気持ちって消えるの?」と気になり読んでみた。初め読んでいてすごく苦しくなるけれど、読者を苦しませたままにはしない。豆塚さんはちょっとユニークな人だ。言葉がいいと思う。文に引き込まれた。 「私の身体が死にたくないと言っている」 これは本当だと思う。確かに私...
タイトルを見て、「しにたい気持ちって消えるの?」と気になり読んでみた。初め読んでいてすごく苦しくなるけれど、読者を苦しませたままにはしない。豆塚さんはちょっとユニークな人だ。言葉がいいと思う。文に引き込まれた。 「私の身体が死にたくないと言っている」 これは本当だと思う。確かに私もこの身体が今も私を生かしてくれていると思う事がある。厄介な身体、と思うけど、確かに豆塚さんの言う通り、身体の方が「世話のかかる頭だね」って思ってるかもしれない。
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ここまでリアルなのは実話だからなんだと思う。実際自分の起きた事をここまで言語化出来るって本当に凄いと思う。辛いこととか悲しいこととか思い出したくないし逃げたくなる。凄いな。毎日、憂鬱で世界が世の中が嫌になって自分が生きている価値を見失う。でも読み終わったあと辛くてもこの本があれば...
ここまでリアルなのは実話だからなんだと思う。実際自分の起きた事をここまで言語化出来るって本当に凄いと思う。辛いこととか悲しいこととか思い出したくないし逃げたくなる。凄いな。毎日、憂鬱で世界が世の中が嫌になって自分が生きている価値を見失う。でも読み終わったあと辛くてもこの本があればなんとか生きていけそうな気がするとそう強く感じた。刺さる言葉が多くて凄く好きな本です。ありがとう。
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街に出れば病気の人や障がい者はそこに居ないかのような雰囲気で営みが繰り広げられている 自分の職場である病院では病気の人が相手の仕事で、ともすれば父権的な考えに陥りやすい この本は自分を相対化させてくれる 身近なひとに、ごめんねと言えるかだ
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生きづらいと感じる気持ちを受け止めることの大切さ。見て見ぬふりしてきたことすら忘れて心にしまい込んだ気持ちがあったことを思い出した。あの時、私は辛かったんだなと認識できた。忘れたままの方がいいのかもしれないけど、わかっていると次に繋げられそうだと思った。
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気づくと、娘を持つ父親として読んでいた。子どもの自由意志に自覚的になることはとてもむずかしい。おなじ「子ども」でも自分の子どもとなると難易度が一気に上がる。子どものじゃまをしないこと、つねにこのことは心がけておきたい。
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12月14日、ぽかぽかと暖かい日に 豆塚エリさんはベランダから飛び降り自殺を図った。 小学生の頃の家族との関わりが 冷静に淡々と、でも、血の通った文章で綴られている。 中学、高校へと進むにつれ 自分の思いだけではどうにもならない周りとの軋轢など 苦しさも増していく様子に胸が痛む...
12月14日、ぽかぽかと暖かい日に 豆塚エリさんはベランダから飛び降り自殺を図った。 小学生の頃の家族との関わりが 冷静に淡々と、でも、血の通った文章で綴られている。 中学、高校へと進むにつれ 自分の思いだけではどうにもならない周りとの軋轢など 苦しさも増していく様子に胸が痛む。 入院中に出会う、看護師さん、同室の患者さんとの交流から 豆塚さんの視野がグンと広がった気がする。 迫り来るような圧は感じさせない。 でも、しっとりと心に染みてくる。 若い人にも、高齢な親を抱える人にも 幅広い年齢の人に読んでほしい。
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テンポの良さと、言葉の美しさ、読みやすさで、一気に読めてしまいました。こんなにひっかからずに読めて、場面が記憶に残る本はあまりないので、その意味でも印象に残る本でした。 豆塚さんはTwitterで、「本の中で読んでくれた人と対話ができればいいな」と書いていらしたのですが、私の中...
テンポの良さと、言葉の美しさ、読みやすさで、一気に読めてしまいました。こんなにひっかからずに読めて、場面が記憶に残る本はあまりないので、その意味でも印象に残る本でした。 豆塚さんはTwitterで、「本の中で読んでくれた人と対話ができればいいな」と書いていらしたのですが、私の中にもいろんな言葉が浮かび上がってきました。 選べることと、選べないこと。 断れないこと。追い込まれていくこと。 人の手を借りること。人の手を借りていいこと。 決められてしまうこと。決めていけること。 大人になってしまった私は、そして親になってしまった私は、気付けなくなってしまったものもたくさんあると思うので、こわさもまた、感じました。知らぬ間に子どもを深く傷つけてしまっているのではないかというこわさを。 子どもたちから見て、信頼してもいいと思ってもらえる大人であれるよう、精進していこうと思いました。
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